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第74話

あれだけ賑わっていた施設内だったが、出入口付近に向かうにつれ、人が少なくなっていった。 「ねぇ、さっきの外国人、ちょーイケメンだったよね」 「外国人って、やっぱり柔道とか剣道とかそういうの好きなのかな」 「あそこにいた外国人、イケメンだったけど、その横にいた男の子もイケメンじゃなかった」 時折耳に入る来場者の声に、彼が来ていたことは明白となった。 が、俺は彼を見つけられないでいた。 もしかしたら、彼はもう施設から出たかもしれない。 今日は日曜。 明日になれば彼に会える。 けど俺は、今、彼に会いたいんだ。 最後の希望を込めて、角を曲がり、出入口付近を見る。 「あっ!!」 いた!! いつ見ても綺麗な彼の横顔に、一瞬で俺の疲労は吹っ飛んだ。 ただ、心臓も呼吸も乱れたまま。 彼を見たら、上がった心拍数や息なんて整えれない。 そして、彼の視界に入りたくて、 「まさみーーー!!」 思いのままに、彼の名前を叫んだ。

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