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第83話

廊下からの西陽によって、俺の影が彼を包む。 一度だけ、彼と過ごした放課後を思い出す。 あの時も、こんな感じで西日が差しこんでいた。 あの時は、彼の表情がはっきり見えた。 初めて、彼と二人っきりになって……いつもと違う彼を見て……。 その時間は短かったが、満たされた時間だった。 そんな時間をもっと持ちたい。 彼と二人だけの時間が欲しい。 そんな気持ちが溢れ出てしまい、つい告白じみた言葉を言ってしまった。

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