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第86話
あの頃、アイツが隣りにいなくなった頃。
俺は、アイツの代わりを探していた。
でも、アイツの代わりはいなかった。
彼女が出来ても、他の友達がいても。
アイツじゃなきゃ、何の意味もない。
俺の隣りはアイツだけ。
そう思っていた。
けど、彼に恋して分かった。
"俺の隣りはアイツだけ"と固執していたのは、"俺だけ"。
本当は、俺の隣りは誰でもいいんだ。
ただ、好きな人であれば。
だから今は……。
彼に一緒にいて欲しい。
彼に隣りにいて欲しい。
彼しかいらない。
そして、俺と同じように、彼にも思って欲しいと願っている。
寺島 に一緒にいて欲しい。
寺島 に隣りにいて欲しい。
寺島 しかいらない。
雅人じゃなくて、俺を選んでほしいと。
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