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第92話

――チクタクチクタク……―― アイシングを止め、彼の右手に湿布を貼ってテーピングしてると、 「……寺島の手、白いな」 ポツリと彼が呟いた。 見ると、確かに綺麗な褐色色の彼の手に比べ、俺の手は真っ白。 逆に節ばって厳つい俺の指に比べ、彼の指は長く、爪の形は整ったスクエア型だった。 「室内の部活だからな」 さっきは、彼と手を繋ぎたいという思いだけで手を握っていたが、いつかはこの指に俺の指を絡ませたい。 淡い期待からか、そんなことを思っていたら、 「……雅人みたい」 美しく残酷な言葉が落ちてきた。

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