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第98話

罪悪感と焦燥感に(さいな)まれた。 『彼に謝らなければ』 そう思って過ごした1週間。 その一方で、それすらも自己満足のように思えた。 謝ったところで、彼の傷は消えない。 友人と思っていた者からの裏切り。 彼は、俺の顔すら見たくないかもしれない。 あの鳶色の瞳が浮ぶ。 けど、彼との信頼関係を崩したのは俺だ。 そのことは、ちゃんと謝らなければ。 そして、あの悪夢が続くとしても、この恋心もちゃんと伝えなければ。 明日、彼と話そう。 すーっと深呼吸して、期末を理由に先延ばしにしていた、弱い自分を鼓舞した。

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