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第106話

窓からの明かりが、じわりと差し込む。 そのおかげで、とても驚いた彼の表情がよく分かる。 「"友達"としてではなくて……、俺は、あなたのことが大好きです。あなたに恋してます」 先に謝ろうと思っていたのに、彼の瞳を見たら、自分の気持ちが先に出ていた。 でもそれは、自然な流れだと思う。 『あなたのことが大好き』 これが、彼に伝えたかった一番のことなのだから。 俺の告白に、彼は動揺して、口を開けたり閉じたりしてる。 そんな彼に、思わず笑ってしまう。 「それより先に、謝らないとだな。この間は、ゴメン。突然キスして」 謝罪の言葉もするりと出た。 「本当は、すぐに謝ろうと思ってた。けど、期末もあったから、とりあえず期末が終わってから、それから謝ろう、金曜に謝ろうって思ってた。そしたら、金曜に雅実が熱出して休みで……。俺のことで悩んだんだろ?ホント、ごめん」 彼に向かって、しっかりと頭を下げる。 「突然キスしたことは謝る。雅実を悩ませたことも謝る。けど、俺の気持ちは変わらない。それに……」 そして、ゆっくりと頭を上げ、再度彼を見つめる。 あとは野となれ山となれだ。 「きっかけはどうあれ、雅実には自分の気持ちを伝えようと思ってた。雅実なら、俺の気持ちを聞いても、……嫌だったとしても、ちゃんと答えてくれると思ったから。雅実は優しいから言いにくいかもしれないけど、友達でいるのも難しかったら、もう」 「ちょ、ちょっと待って!」 俺の話を遮るように、彼の声が響いた。

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