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第108話

やっぱり、キツイな。 好きな子からの拒絶は。 彼を見ることができず、俯く。 彼の回答は想像していたのに、いざ言われると、そのダメージは想像以上だ。 けど、優しい彼だからこそ、はっきりと伝えてくれたんだ。 そして俺は、そんな優しい彼にまた懲りもせず恋をする。 きっと、彼が何をしたって、俺は彼に恋してしまう。 それだけ彼を好きなんだなぁ、と改めて実感していると、 「俺も、寺島と一緒なんだ」 「…え」 彼の声がよく聞こえず、顔を上げると、鳶色の瞳が俺を見つめていた。 彼の、形の良い唇が、ゆっくりとほどける。 発せられた声は震えていたが、今度は確かに聞こえた。 「俺も……たぶん、寺島に恋してる」 不安そうな彼の声が。

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