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第112話
案の定、彼の呼び出しだった。
「寺島、俺、行かないと…」
背を叩くのを止め、俺の肩に手を置く彼。
優しい彼が、俺から離れようとしている。
それは、嫌だ。
「……うん」
と言いつつも、ぎゅっと彼を抱きしめる。
すると、彼の小さな笑いが聞こえた。
「…大丈夫。寺島から、逃げたりしないから」
「……うん」
大丈夫。逃げても、絶対捕まえるから。
そう思いながら、俺は彼を抱きしめている手をゆっくり下ろした。
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