119 / 140
お家でランデブー 第2話
「どうぞー」
「おじゃまします」
誰もいない家に律義に訪問の挨拶をした彼。
俺は、そのまま彼をリビングに案内する。
リビングに入ると、彼は立ったまま、部屋をぐるりと見回した。
「適当に座って。あ、麦茶とジュースどっちがいい?」
「じゃあ、麦茶で」
カウンターキッチンでコップに麦茶を注ぎながら、彼を見る。
リビングの真ん中に鎮座するソファーに、浅く座る彼。
そして、やはりキョロキョロと部屋を見回している。
でもその顔は、ワクワクした表情。
ホント、可愛いすぎる。
「雅実」
「あ、ありがとう」
麦茶の入ったコップを彼に渡すと、すぐに口をつける。
――コクコク……――
液体が喉を通る音が響く。
俺は、ゴクリと唾を飲み込み、意を決して彼に言う。
「じゃあ……始める?」
彼もワクワクした表情から少し強張らせ、
「う、うん…」
と頷いた。
俺は、リビングのソファーに背を預け、天井を見上げる。
「はぁー…雅実……強すぎ」
とため息混じりの俺の言葉に、
「へへ、そうかな」
彼が顔を赤らめる。
「でも、ビギナーズラックかな?」
彼は、ことりとコントローラーをテーブルの上に置いた。
「雅人の言った通り、キノ◯オが正解だったんだよ」
そう、俺たちは、家に着いて早々"マ◯カー"をしている。
友達の家に遊びに行ったことがないと言っていた彼。
そんな彼が、帰り道で嬉しそうに言ってきたのだ。
『雅人から聞いたんだ、誰かの家に遊びに行ったら、必ず"マリ◯ー"するって』
雅人の奴……、今度会ったときマジ締める。
ともだちにシェアしよう!