118 / 140
お家でランデブー 第1話
駅ビルのフードコートで昼飯を済ませた俺たち。
折角なので、ビル内のショップをブラブラしている。
所謂、放課後デートで初デート。
「それにしても、ホント食べるよな、寺島」
「そうか?」
「だって、大盛りカツ丼とうどん3玉、トッピングにコロッケ2つとちくわ天2つ。俺もだけど、隣りの親子、ビックリしてたよ」
「これでも腹八分目で、抑えた方なんだけどなぁ」
「……寺島の家、食費凄そうだな」
「そそ、俺ひとりでエンゲル係数上げてるわ」
何でもない話なのに、ずっと心が弾んでいる。
初デートというだけで、こんなに気分が上がるものなのだろうか。
「雅実、何か買わなくていい?入りたい店あったら言って」
「特に、大丈夫、かな」
少しバツが悪そうに笑う彼。
「俺、大体ネットで買うんだよね。出不精だから」
人見知りの彼らしい。
「あー、でも俺もネットよく使うわ。俺の場合、こういうとこだとサイズがねーんだよなー」
「日本で寺島サイズって、なかなか無さそう」
「基本、海外ブランドか、スポーツウエアだな」
"んー"と考えながらいると、
「ははっ!」
彼が急に笑い出した。
「何?どうかした?」
「いや。そういえば、俺、寺島のこと全然知らないんだなぁと思って」
ニコニコしながら歩く雅実。
「学校だと、いつも雅人が一緒だから、雅人メインの話で、あんまり自分達のこと話さないからさ。……いいな、こうやって二人で遊ぶのも!」
特に恥ずかしいがる様子もなく、サラッと言った彼。
ホント、無自覚ほど怖いモノはない。
俺は、彼への気持ちが抑えられなくなった。
「なぁ、そろそろ俺ん家行かね?」
俺の言葉を聞いて、スマホで時間を確認した彼。
「うん、そうだね。3時前だし、寺島の家行こう!」
無邪気な笑顔で答えた彼。
そんな彼の瞳に、邪 な気持ちが満ち満ちている俺は、どう映っているのだろうか。
ともだちにシェアしよう!