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お家でランデブー 第1話

駅ビルのフードコートで昼飯を済ませた俺たち。 折角なので、ビル内のショップをブラブラしている。 所謂、放課後デートで初デート。 「それにしても、ホント食べるよな、寺島」 「そうか?」 「だって、大盛りカツ丼とうどん3玉、トッピングにコロッケ2つとちくわ天2つ。俺もだけど、隣りの親子、ビックリしてたよ」 「これでも腹八分目で、抑えた方なんだけどなぁ」 「……寺島の家、食費凄そうだな」 「そそ、俺ひとりでエンゲル係数上げてるわ」 何でもない話なのに、ずっと心が弾んでいる。 初デートというだけで、こんなに気分が上がるものなのだろうか。 「雅実、何か買わなくていい?入りたい店あったら言って」 「特に、大丈夫、かな」 少しバツが悪そうに笑う彼。 「俺、大体ネットで買うんだよね。出不精だから」 人見知りの彼らしい。 「あー、でも俺もネットよく使うわ。俺の場合、こういうとこだとサイズがねーんだよなー」 「日本で寺島サイズって、なかなか無さそう」 「基本、海外ブランドか、スポーツウエアだな」 "んー"と考えながらいると、 「ははっ!」 彼が急に笑い出した。 「何?どうかした?」 「いや。そういえば、俺、寺島のこと全然知らないんだなぁと思って」 ニコニコしながら歩く雅実。 「学校だと、いつも雅人が一緒だから、雅人メインの話で、あんまり自分達のこと話さないからさ。……いいな、こうやって二人で遊ぶのも!」 特に恥ずかしいがる様子もなく、サラッと言った彼。 ホント、無自覚ほど怖いモノはない。 俺は、彼への気持ちが抑えられなくなった。 「なぁ、そろそろ俺ん家行かね?」 俺の言葉を聞いて、スマホで時間を確認した彼。 「うん、そうだね。3時前だし、寺島の家行こう!」 無邪気な笑顔で答えた彼。 そんな彼の瞳に、(よこしま)な気持ちが満ち満ちている俺は、どう映っているのだろうか。

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