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お家でランデブー 第3話
俺は隣りの彼を見る。
「次は、別のキャラクターでやってみようかな…」
彼はテレビ画面に夢中。
ホント、何なんだ!?
俺だけか?
俺だけが、舞い上がっていたのか??
確かに、今日を思い返せば、彼はいたっていつも通りだった。
デートと思って過ごした放課後も、ただ飯を食って、ブラブラしながら話しただけで。
それは恋人デートのようだが、特段、友人と遊びに出かけるのと変わらない。
本人達がどう思っているかの問題だ。
「なー、雅実」
「ん?」
彼を名前を呼ぶも、画面に釘付けの彼。
"友達を思う好きではない"と彼は言っていたが、まだ"恋人を思う好き"まではいってないのだろか。
こうなったら…。
「俺、キスしたい」
もう、ムードもへったくれもない。
「え!?」
さすがの彼も、画面から目を離し俺の方を見る。
そんな彼に、グイッと迫る。
「雅実。俺、雅実とキスしたい」
「へっ??」
素っ頓狂な声を出して、上半身を後方に引く彼。
俺も負けじと、さらに詰め寄る。
「雅実とキスもしたいし、それ以上先もしたい!」
出来るだけいつも通り、かつ雅人が言うような感じで、彼に今の自分の気持ちを伝える。
すると、一拍おいてボッと赤くなった彼。
「え、えーっと……」
目をそらし、久しぶりに吃 る彼。
以前なら、そんな彼も可愛いなとニコニコ笑っていたが、今は違う。
二人っきりなのだから、もっと恋人同士でありたい。
そう強く思いながら彼を見つめていたら、
「お、俺も……」
彼の蚊の鳴くような声が聞こえてきた。
「俺も、同じこと考えてた…」
真っ赤な顔のまま、伺うように、今度は彼が俺のことをじっと見つめる。
「……」
「……てらじま?」
ヤバい…。
コレは、無理だ…。
――ちゅ――
学習能力のない俺は、やっぱり衝動的にキスをした。
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