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お家でランデブー 第4話
俺は、軽く触れた彼の唇からゆっくりと離れる。
彼の唇は、初めて触れたときと同じ感触だった。
ただ違うのは、恥ずかしそうな表情ながらも、彼の鳶色の瞳が甘く俺を見ていたことだ。
彼を渇望する気持ちが全身を巡る。
俺は、再び彼の唇に触れるため、顔を近づけようとした。
すると、
「て、寺島……」
彼の左手が俺を制する。
彼は、綺麗な眉をハの字にさせている。
「えーっと……」
またもどもりだす彼。
やっと触れられたのに、ここで"やっぱりナシ"はナシだろ!!
つい、ムッとふくれっ面になってしまった。
そんな俺を見た彼が慌てて首を振る。
「ち、違うんだ、寺島!そ、その……ここ、リビングだろ?」
そう言って、首をくるりと動かし辺りを見回す彼。
俺も、彼と同じように首を回す。
そうだ、確かにここはリビングだ。
両親は仕事で夜7時以降しか帰ってこない。
中学生の妹は、通常授業で部活もある。
ただ、大学生の兄貴はいつ帰ってくるか分からない。
俺は、彼の両肩をグッと握る。
「雅実、俺の部屋に行こう!」
すぐさまソファーから立ち上がり、ゲーム機とコップを片付ける。
それはまさに風のような素早い動きだったと自分でも思う。
最後に、ソファーの横に置いていた自分の鞄を左肩に引掛け、彼の方を向く。
「雅実」
彼も自分の鞄を持ってソファーから立ち上がる。
彼がしっかり立ち上がったの確認して、俺は右手を彼の前に差し出す。
「……寺島?」
俺の手を見てキョトンとしている彼。
俺は満面の笑みで答える。
「手、繋ご?」
その一言に、またもボッと赤くなった彼。
俺と同じ気持ちとか言ってたけど、これぐらいで赤くなってんのに、キスより先とかできんのか。
先をする前に、のぼせ上って倒れるんじゃねーのか。
一抹の不安を抱えながら、彼の手を待つ。
「え、えっと……」
赤くなったまま、なかなか俺の手を握らない彼。
だから俺は、彼に一歩近づき耳元で囁く。
「雅実、早くしないと……誰か帰ってきちゃう」
「?!」
そして、ビクリと肩を竦 めた彼の左手を取り、指を絡ませる。
「部屋、行こう?」
俺があざとくコテっと頭を傾けると、
「……うん」
赤い顔の彼もコクリと頷いた。
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