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お家でランデブー 第6話(R-15)
ベットに座った彼が、立っている俺を見上げる。
濡れた鳶色の瞳が揺れている。
不安と期待に満ちて。
俺は彼の横に座るため、今度こそ絡めていた指を解いた。
一瞬目を見開いた彼だが、隣りに座り彼の右手に俺の左手を重ねて見つめると、ゆったりと笑って俺を見た。
いつ見ても本当に綺麗だ。
右手を彼の左頬に添える。
俺は、その美しさを確認するように親指でなぞる。
眉、瞼、鼻、頬、そして唇。
先ほど味わった唇は、ぽってりと濡れていた。
ふにふにと彼の唇の感触を楽しんでいると、その唇がおもむろに開いた。
再びキスをしろと催促するように。
勿論、俺は、彼を満足させるため、その濡れた唇を迎えに行く。
――くちゅ……ちゅ、ちゅ……――
俺の口内を蹂躙 する彼の舌。
普段の彼からは全く想像できない舌の動きに、気持ちが昂 る。
添えていた右手をゆっくりと下ろし、やんわりと彼のモノに触れた。
すると、彼の舌の動きが止まる。
俺は、ゆっくりと彼の唇から離れた。
「……やっぱり、嫌?」
できるだけ優しく彼に尋ねた。
分かっている。
彼はノンケだ。
キスはできても、やはり"キスより先"は難しいのかもしれない。
確かに、触れば生理的に立つだろうが、それでは意味がない。
俺は、彼と同じ気持ちを共有したいのだ。
少し官能が引いた表情の彼は、ゆるゆると首を振った。
「違う…違うんだ……、寺島……」
不安そうに呟く彼。
俺は、彼を安心させたくて、鼻や頬に優しくキスをする。
少し安心したのか、くすぐったそうに笑う彼。
首をずらし、俺の唇に軽く触れた彼は、小さな声で答えた。
「俺……、こういうの……、得意じゃないんだ」
そう言って、視線を逸らす彼。
「……こういうのって?」
俺は意味が分からず、彼にオウム返しで尋ねた。
「その……俺、自分でするのも、苦手で……」
彼の答えに、ますます意味が分からなくなる。
俺が黙っていると、逸らしていた視線を俺に合わせた彼。
と思ったら、
「!?」
いきなり俺のモノに手を当ててきた。
「俺……、上手くできないと思う……」
そう言って、やわやわと俺のモノを握りだした。
「寺島は……、どうすれば、気持ちよくなる?」
濡れた鳶色の瞳で俺を見つめ、濡れた唇で甘く囁く。
「なぁー……」
左手の動きは止めることなく。
そして俺は、心の中で叫ぶ。
あー、もー、このマスティマ!!
どうしてくれようか!!
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