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チラリと?!夏祭り 第3話

「お前って、ホントタラシだよな」 ソファの背もたれに右腕を置き、完全に俺の方を向いた新。 「何が?」 「自覚なしかよ。タチ悪っ!!」 「はぁ?」 何のことだかサッパリだ。 すると横から、またもクスクスと母さんの笑い声が。 「新は、アリサが自分に懐かなくて晶に嫉妬してるのよ、ね?」 「ち、ちげーしっ!!」 今度は、新がアリサの様に口を尖らす。 うん、兄妹似ている。 「新、晶はタラシじゃなくてスマートなのよ」 そう言って新の横に座った母さん。 「母さんまで晶派かよ!!晶の方が、ちょーっとばかし背が高くて、ちょーっとばかし頭が良くて、ちょーっとばかし剣道が強いからって……俺泣く」 "ううっ"とウソ泣きを始めた新。 それに対し、 「ハイハイ、夏祭り前に彼女にフラれて可哀想ね」 と笑いながら新を慰める母さん。 「かぁ~さ~ん、息子の失恋の傷口えぐらないでぇ~!!」 ……コイツはホントに20歳すぎの大人か。 思わずため息をつく。 「彼女にも、今のアリサにしみたいにベタベタしたんでしょう?好きだからって、あんまりくっつくと鬱陶しいわよ」 母さんは新に言ったようだが、その言葉にドキリとする。 雅実に対する俺の言動に、心当たりがありすぎる。 「だって~、好きが溢れちゃうから~」 ウソ泣きを続ける新の言葉に、頷きそうになるをグッと我慢した。 新の気持ちが痛いほど分かる。 やっぱり俺達も兄弟なんだな。 妙なところが似ている。 「同じようなタイプの子なら何とかなるでしょうけど、そういうのが苦手な子からしたら重いだけじゃない。ねぇ、晶?」 「あ、う、うん……」 「え~~~ん!!」 とどめを刺された新は、ソファにおでこをつけ丸くなった。 俺も、心の中で膝をついた。 重いのか、俺の気持ち……。 鬱陶しいのか、俺……。 いや、でも、こないだの、雅実嬉しそうだったし……。 逆に、一緒にいたいって雅実本人が言ったし……。 「アキちゃーん!!これでどお??」 ってか、今から雅実に会うだぞ?! 久しぶりに会うけど、どう接するのが一番ベストなんだ?? 「アキちゃん?」 雅人と小森さんが一緒だから、そこまでイチャイチャは出来ないと思うが……。 待て、俺、基本が雅実にベタベタしている!! 誰がいようと関係ねーわ!! 「アキちゃん!」 いつの間にかリビングに戻ってきていたアリサに腕を叩かれ、ハッとする。 「アキちゃん、どうしたの?大丈夫?」 心配そうに俺を覗き込むアリサ。 「え、あ、大丈夫大丈夫!ちょっとボーっとしてたわ」 「そっか。ならいいけど」 "あはは"と誤魔化し笑いをしていると、 「はは~ん、分かったぞ!」 新が怪しい声を出した。 "今度は何だ"と思い新を見ると、ニヤニヤしながら俺を見てこう言った。 「晶よ、お前、さては、今日の夏祭りは彼女とデートだな?」

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