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チラリと?!夏祭り 第4話
「えっ、アキちゃん彼女いるの?!彼女とデートなの??」
新の言葉に、アリサが興奮気味に俺に近づく。
「兄貴が彼女と別れたばっかというのに……。お前はラブラブ夏祭りデートか?!この裏切り者めッ!!」
「同じ学校の子?同じクラス?」
グイグイくる兄妹に、内心イラつく。
「何でお前ばっか女子にモテんだよ!!彼女はどんな子だ!?」
そもそも、彼女じゃねーし。
「ねね、可愛い系、それとも綺麗系??」
可愛い系?綺麗系?
「もしかの、ブサイクちゃんか?」
ハァーッ!?
俺の恋人は絶世の美青年だよ!!
と言えるはずもなく。
ただ、
「…ちげーよ」
としか言えなかった。
「あなた達、どうでもいいけど、時間は大丈夫なの?そろそろ駅に向かった方がいいんじゃない?」
我が子達のやり取りを見ていた母さんが、おもむろに時計を見て言った。
「あ、ホントだ!時間ヤバい!!」
「やっべ、髪型決まってねーまんまだし!」
時計を見たアリサと俺が慌てていると、
「アリサ、お兄ちゃんが駅まで送ってあげるよ!」
「え、ホント?!」
「オイ、新、俺は?!」
「デートのおぬしを何故乗せねばならぬ…歩いていけー!コンチクショー!!」
…完全なる八つ当たりだな。
「えー!?あらたにぃ、私、アキちゃんも一緒がいい!!」
「うんうん、そうだね!アキちゃんも一緒に車で行こうね!じゃ、お兄ちゃん車まわしてくるね!」
一瞬でアリサの僕 となる新。
意気揚々と外へ向かった。
「アリサ、ありがと」
「いえいえ、どういたしまして!」
ニコリと笑ったアリサに続いて、リビングを出ようとしたとき、
「晶」
母さんの声に呼び止められた。
「ん、何?」
母さんの方を見ると、和らいだ顔で俺を見ていた。
「夏祭り、楽しんできなさいよ」
「う、うん?」
それだけ?
わざわざそれを言いたかったのか?
母さんが何故呼び止めたのかよく分からないが、すぐに"気を付けていってらっしゃい"と手を振ったので、アリサと一緒に玄関へ向かった。
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