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チラリと?!夏祭り 第10話(R-15)
残るは絆創膏を貼るのみ。
雅実から絆創膏をもらうため顔を上げて、
「雅実、絆創膏かし…」
手が止まる。
雅実の靴(下駄?)ズレの処置で全然気付かなかったが……。
コレ、今、凄い状態じゃないか?
俺が気にせず雅実の右足を持ち上げたため、かなりざっくりと浴衣の裾が開いてしまったようだ。
雅実はその状態のまま、俺が処置しやすいように裾をたくし上げ、手で押さえていた。
そう、膝から下を雅実の右足は、無防備に俺の眼下にさらされている。
そして、上前と下前の重なりをだとると、雅実の……。
「…寺島?」
急に動きが止まった俺に、雅実が小首をかしげ声をかける。
「あ、ごめんごめん!うん、うんうん、絆創膏を貼るな!」
雅実が差し出していた絆創膏を慌てて受け取り、擦れた箇所に貼る。
ただ、貼る作業はゆっくりとしながら、雅実に怪しまれないように、顔を上げず眼球だけを動かす。
サイズはあるものの細身の足。
骨ばった足の甲に血管が浮かぶ。
左手で確認済みの、足首のくびれ。
長い脚だと思っていたが、膝下が長い。
そこは何もなく、褐色の肌に思わず触りたく……ん、何もなく?
「な、何、寺島?!」
俺は無意識に雅実の脛 を撫でていた。
薄っすら触る俺の手つきに、雅実は驚きの声を出した。
「あ、ごめん雅実」
と口先では謝るものの、触るのを止めない俺の手。
「ッ……て、寺島。っちょ、触るの、止めて?…くすぐったっい」
くすぐったさを我慢しているのか、少し唇を結ぶ雅実。
「……なぁ、雅実」
「な、何っ?」
今だ脛 を触り続ける俺は、思った疑問をそのまま雅実に伝える。
「何で、毛がねーの?」
「へ?」
そうなのだ。
雅実の脛 には一切毛が無いのだ。
いくら体毛が薄くても、こんなツルツルなんてあるのか?
そんなレベルの触り心地。
「そ、それはっ…か、母さんがっ」
「母さん?」
雅実の『母さん』という単語に手が止まる。
何故ここで母親?
俺の手が止まり、ホッとひと息した雅実は、苦笑いを浮かべ話し始めた。
「母さんが、とにかく、男のむさ苦しい感じが苦手で。特に"体毛"が苦手でさ」
「たい、もう…」
「うん、体毛がね。だから、雅人も俺も、腕、脇、脛 は脱毛してるんだ。もちろん、父さんもね」
「だつもう…」
「しかも医療脱毛だから、なかなか痛いんだよ……って、な、何また、触り始め、てんだっ、て、寺島!!」
雅実が何か言っている。
何言ってんだろう……まぁいいか。
それより……この触り心地。
何でこんなに瑞々しいんだ。
雅実はどこもかしこも完璧だ。
いつまでも触っていたい。
いや、それ以上に……。
――ぺろっ――
「なっ?!」
――ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ……ちゅっ――
うん、思っていた通りだ。
雅実はどこもかしこも美味しい。
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