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これも絆ってゆうのかな

「うわっ。ナニ? この部屋……」  入ってすぐは広々リビングルーム。  ザ・ペニンシュラスイート。     ザ・ペニンシュラタワーの最上階に位置し。    高い天井とプライベートテラスが特徴の  リビングルーム・最大10名までのディナーが可能な  プライベートキッチン付きのダイニングルーム、  プライベートジム、書斎などで構成される室内は、  クラシックな調度品が配され、上品で洗練された  空間だ。     大体何百畳分くらいある? かも分からない。  それくらい広い。 「1人のくせに、こんな広い部屋泊まってるの?  贅沢」  ぶつぶつ言いながら室内を見回した。 「じゃ、お前も一緒に泊まればいい。  それなら文句ないだろ?」  真後ろから聞こえた手嶌さんの声に少しびっくり。  振り向いた。  彼は俺のすぐ後ろに立って、俺を見ていた。 「なつめ」 「――ぁ……っ」  俺は手嶌さんに強く、強く ――  息も出来ないくらい抱きしめられた。 「ちょ、苦し……っ、て……きつい……」 「やっと捕まえた。コレくらい我慢しろ」  足が浮く位にきつく抱きしめられる。  手嶌さんの身体が震えているのが分かる。  (え ―― ?   今、やっと、って言った?   それどーゆう意味?)    「会いたかった……触れたかった……お前を、  抱きしめたかった」  声も震えている。  俺は身動きが取れないまま……  手嶌さんに強く抱きしめられている。   思いっきり抵抗して、もがけば。  彼だって無理矢理はしなかっただろうに……  俺も彼の匂いと温もりが嬉しくて抱き締められた  腕を解く事は出来なかった。         次に手嶌さんは俺をヒョイと軽々お姫様抱っこして、  そのままソファーに座った。    そのままだから、当然俺は竜二の膝の上だ。    今さらながらこんなシチュエーションが  とんでもなく恥ずかしくて。俯いた。  手嶌さんを真っ直ぐ見る事ができない。    けど、やっと思い出した。  手嶌さんはあの時も俺を助けてくれた。  なのに俺はお礼も言わずに手嶌さんの事を  ”人殺しだの、人攫いだの” と大声でまくし  たっててしまって……。    ヤバ ―― っ。  思い出したら余計恥ずかしくなってきた。    手嶌さんが小さく ”プ”っと噴き出した。     「??……」 「お前、かお真っ赤」 「う、煩いな……」  なんて強がってみても、  本当に俺の顔は耳まで真っ赤っ赤、なのだから  ちっとも格好つかない。     「かーわいぃー! でもこんな顔、俺以外の前で  見せんじゃねぇぞ」   「可愛いって何だよっ。それに、その俺様発言も  気に食わねぇ」 「でも俺は、ナツが自分から身を任せてくれるまで、  キス以外はしねぇから」 「え、えっと、とりあえずあの時は、ごめんなさい。  んで、ありがとう」   「??……」 「助けて、くれたろ? 2丁目で」 「あぁ……! やっと、思い出してくれたワケね」 「言ってくれれば良かったのに」 「俺はナツに自力で思い出して欲しかったんだ。  だから、すっげー嬉しい」    そんな手嶌さんの言葉を聞いて俺も嬉しくなった。

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