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酔った勢いで……

   カチッカチッカチッ……と  時計の音がいやに大きく感じる。  もう2時かぁ。  (なにやってんだろ、   竜二……こんな時間まで)      七都芽は気になって眠れなかった。  その時、ガタンッと下で物音がした。  (竜二?)      七都芽は薄手の上着をはおり、  玄関に向かうため階段を降りて行く。  すると玄関で黒い人影が見えた。    よくよく目を凝らして見ると竜二が倒れている。 「あ、りゅじ、どうした ――  うわ……」  (お酒くさっ)     「こんなとこで寝ちゃだめだって。  風邪引いちゃうよ」 「ん……ナ、ツ?」 「肩につかまって」  フラつきながら階段を昇り、  やっとこさ竜二の部屋へたどり着く。  彼をどっこいしょとベッドへ寝かせた。 「ん ―― 水」 「水ね、はいはい」  七都芽は片隅の小さな冷蔵庫から  ミネラルウォーターのボトルを取り出し、  再び竜二の元へ戻ってきた。     「竜二、ほら水だよ。飲んで」  竜二は七都芽の手からボトルを受取り  一気に飲みほした。 「一体どのくらい飲んだんです?   服は? 着替える?」 「脱がして」 「え……お、俺が?」  七都芽はしょうがないなぁと  特攻服の上を脱がせ  ニッカポッカのようなズボンのベルトに  手をかける。  静かな部屋にカチャカチャと音が響いた。 「後は脱ぐだけだからここからは自分でして下さいね。  じゃ、おやすみなさい」  七都芽はそう言って立ち上がると竜二の手が  七都芽の腕をひっぱった。 「あっ」  七都芽は竜二の胸に倒れこんだ。 「ご、ごめ ――」  竜二は七都芽を見る。  (竜二……様子、変?)      七都芽はまだ握る竜二の手を払いのけようとする  ―― が、ぎゅっとより強く握られた。 「いたっ 痛いってりゅ……」  背中に手が回されきつく抱き寄せられる。  そしてベッドにクルっと逆転し、  竜二が覆いかぶさった。 「ち……ちょっと、竜二っ」 「しっ、黙って ――」 「しっ、て……んっやだっ」  噛みつくようなキス  ―― 「あ、りゅう んんっ」  (あ……だめだ。また頭がジンジンして……)      お酒と煙草の匂いがまた七都芽を  より麻痺させていく。      竜二の手が馴れた手つきで  七都芽のパジャマのボタンを外ずした。  いくら抵抗しても身体は正直だ。    ピンクの突起を竜二の指の腹で  転がされるとピクンっと反応した。 「や、りゅじ……」  チュッっとその部分をついばまれる。 「……んっ」  ピチャピチャといやらしい音が響き、  ジンジンする快感に七都芽はプルプルと体を震わせた。        「だめ、……やっ」 「もう少しだけこのまま……」 「え……?」 「このままで ――」  耳元で囁く。 「り……ゅうじ?」 「お前をこうして抱いてると……何だか自分の内面も  浄化される気がする」 「……」 「嫌なこと……忘れられる気がするから」  (何かあったの?)      聞けないまま竜二の再び動き出す舌の感触に  七都芽は両手で顔を隠しぎゅっと我慢した。  すると、ふと竜二が動かなくなる。 「―― あれ?」  七都芽は指の間から竜二を見た。  ZZZ……  竜二は七都芽に抱きついたまま眠っていた。 「寝てる ―― よ」  七都芽はそのままハァ――っと、  溜息をつきおでこに手をあてた。  なんだか気が抜けたというか、  ホっとしたというか……  竜二の安心しきって眠っている顔を見て  七都芽はフッと微笑んだ。 「ほんとにどうしようもない社長さんだ」  そう言って胸に抱きついて離れない竜二の髪を  やんわりと優しく撫でた。

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