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Open your mind ―― 2
竜二と俺がLDKに戻ると、
既にお客さんが2人増え、ソファーに座っていた。
1人は上背も恰幅もいい50代位の男性。
もう1人は秋らしい萩の絵柄を刺繍した和装の
じょ……男、性?
竜二が耳元で教えてくれる、
「煌竜会の総長と真琴さんだ」
先に竜二が挨拶する。
「お疲れ様です。おやっさん、姐さん」
竜二が”真琴さん”と紹介してくれた
凄くキレイな人がわざわざ立って俺を総長さんの
隣に座らせてくれ、ご自分も俺の隣へ座った。
「えらい難儀やったな。大した怪我がなくて良かった。
まぁ、竜二も付きっきりとはいかへんが。
夜はきっちりここに帰らせるから。なぁんも心配
する事あらへんで」
「はい」
「竜二には思いっきりわがまま言うて、甘えるとええ」
そう、総長・神楽さんが言ってくれた。
「ありがとうございます」
「せやけど珍しいね。竜二さんがこんなに1人の子の
面倒見るなんて。意外だったな、僕」
真琴さんが言った。
「あぁ、なっちゃん。こいつは俺の嫁の真琴や。
俺も週に1度は真琴と一緒に顔を出すようにする。
昼間はこいつか舎弟の蒼汰がなっちゃんの面倒を
見る。頼れるぞマコは。なんでも聞いたらええ。
料理も旨いから期待しとけよ」
凄くキレイな人だけど男性なのに、嫁……?
って事は、2人とも……。
「もうっ。時継さんったら、いきなりそれじゃ、
びっくりするでしょ、男が嫁って。あのね
七都芽くん、僕、男だけと嫁なの。戸籍上は
”神楽”の息子だけど。だから安心してね。
あ、そうそう、それに、元気になったらうちにも
遊びに来て? でっかいわんこもいるから」
なんて優しい顔をして話しかけてくれるんだろう、
と安堵した。
涙を溢れさせる俺の頬を竜二がハンカチで
優しく拭ってくれた。
「姐さん、申し訳ありません。ご迷惑をおかけします」
「気にしないで。僕ね、こうゆう事は持ち回りだと
思ってるんだ。僕も時継さんに助けられて初めて人の
本当の温かさを感じる事が出来たから、七都芽くん
にもそうなって欲しいって思うし」
笑いながら真琴さんが言った。
「竜二、今日はこのままなっちゃんについててやれ。
後でデリバリーが届くから、ゆっくり飯でも
食うて話を聞いてやれ、曰くありやろからな」
ありがとうございます、と頭を下げる竜二。
”それじゃまたね” と、神楽さんと真琴さん、
それに国枝の小母さん達も帰って行った。
見送りに行ってくると竜二が後を追い部屋を出た。
なぜ、ごく最近会ったばかりの俺に、
皆んなこんなにも親切にしてくれるんだろう?
はっきり言って、どこの馬の骨ともわからない
こんな俺に。
あんな人達は見たことがない。
涙が止まらなかった。
薬のせいだろうか、そのまま俺は眠っていた。
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