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オメガの体

ヒートの時、狼の姿になれなかったのに……今度は人の姿に戻れなくなった。 『どうしよう……俺このまま一生狼なのかな』 「音羽、そんなマイナスに考えるなよ」 『でもこの姿じゃ宗方と手も繋げないし……やっぱり人の姿でのキスするのが好き』 狼の姿では、やはりキス感が無い。 宗方とのキスは気持ち良いし大好き。 「そんな可愛い事言われたら音羽の体調を無視して襲っちゃいそうだ」 『俺の体調って?』 「俺の子…お腹にいるんだろ?」 横になっている俺のお腹を愛おしげに摩って来た。 ……は? 『こっ…子供!?』 「この前のヒートでたっぷり俺のをたっぷり注いだんだ。妊娠してても不思議じゃないだろう?」 確かにオメガは妊娠可能だったと何かの本で読んだけど……けど現実に妊娠してるなんて言われても……俺が産むの?一人で? 「音羽……不安にさせちゃった?」 『不安って言うか……うん、怖い』 俺の手を握ってきた宗方の手に顔を擦り付け素直に甘えた。 『ずっと男だった訳で……子供産むなんて考えた事もなかったし……』 「何も出来ない俺が言うのはあれだけど…音羽が俺の子供を産んでくれるってすごい幸せ……ずっと見てるだけだったから、男同士だから告白してもOKなんて貰えないと思ってた……こうして2人で居れる事が幸せで堪らない」 『宗方……』 パタパタと動いてしまう尻尾が恥ずかしい。 『俺は……宗方の事、憎んでた』 「え……」 絶対王者のアルファ様が情けなく眉を下げる。 『格好良くて、頭も良くて、運動も出来て……俺に無い物、全部持ってたもん……俺なんて獣人になってもオメガだし……宗方が羨ましくて憎かった』 「音羽……今も……?」 耳も尻尾も力なく垂れ下がってしまっている。 『……その宗方が俺の言葉で一喜一憂するのって嬉しいなって、愛されてるって感じる……オメガで良いかもって……お前の子供を産めるのは俺なんだって……誇らしく思う』 チロリと頬を舐めると首をギュウギュウ締め付けられた。 「そうだよ……音羽は底辺なんかじゃない。俺のヒエラルキーではトップだよ」 獣人になった時にはどうしようかと思ったけど……宗方と番になれて……獣人になって良かったと喜びを感じている。 獣人になって過ごしていくうちに考え方まで獣よりになったのかも……。 『でも……無事産まれたとしても、この子は幸せになれるのか?仲間もいない……俺達が死んだ後はこの山に一人だ……産まない方が良いんじゃ……』 「大丈夫……種は撒いた。この子が産まれる頃には世界は変わっているよ……」 『種……?何の種?』 「すぐに分かる……」 それ以上の事は宗方は教えてくれなかった。

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