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第4話
抑えが利かないラスターはルイをベッドに引きずり倒し、服を破り捨てて胸や腹を舌で愛撫する。発情期になったルイの体はそれを抵抗もなく受け入れて、舌先が胸の尖りを掠めると過剰なまでに体を跳ねらせた。
入念に硬くしこったものを愛撫し続けながら、ルイの下肢に纏わりつくものを下着ごと剥ぎ取る。
露わになった双丘の間に、なんのためらいもなく指を滑らせると、そこは熟れた果実のように柔らかで瑞々しかった。
後孔には簡単に指が入り、ぬるぬると出入りを繰り返す。
これから先に待ち受けるものの為に慣らすつもりでそうしたが、そんな気遣いなど必要もない程にルイのその場所は水を滴らせ、受け入れる為に収縮を繰り返している。
「凄い…こんなに濡れるものなのか?」
「あぁっ…んっ!わかっ…ない…!だって、こんなになったことな…っ!やぁ!」
ルイは守るべくして守ってきたわけではないが、発情期が来ても慰めの為だけに体の関係を誰かと持った事はないし、そうしたいと思った事もない。
だからこの行為そのものが未経験だった。
自慰もあまりする事はなかったが、したとしても自らの後ろを使って慰めた事はない。
Ωである以上、そこが快楽を呼ぶ事は知っているが、そうしなくても良いと思う程にセックスというものに興味がなかった。
なのに、ラスターに肌を触れられるだけで、過剰と思えるほどにラスターを体が欲しがった。
自分でも知らない内なる欲望や本能に、ルイ自身が驚いている。
「ラスター…!俺、どうしたら…!」
番になった事で他のαに存在がバレる事はなくなったが、それでルイの発情が治まるわけではない。
ラスターはルイの体を胸に抱きかかえ、顔を覗き込む。
「おまえの香りが変わったせいで、俺の理性も限界だ…」
番にさえなれれば本当はセックスをする必要はない。
けれど…
「…しようよ…最後まで…」
それに言葉では返事をしなかったけれど、ルイの体をベッドに横たわらせて上に伸し掛かると、再び後孔へと指を挿入した。
先程よりもさらに熟れたそこが待ち受けているものは一つしかなかった。
「お願い、もう入れて…」
「後悔しないか」
「しないよ、だって、ラスターは俺の番なんだから…」
そう微笑むルイからはめまいがする程の色香が漂っている。
こんな時に理性を保っている方が野暮だ。
一層解き放ってしまった方がいいのだ。
ラスターはルイの下肢を広げ、その間に腰を進めると後孔に自身の猛りを擦り付けた。
シーツに滴るほどに濡れたそこは、擦れる度に瑞々しく卑猥な音を鳴らす。
切っ先を宛がうと収縮を繰り返す穴に勝手に飲み込まれていきそうだった。
「入れるぞ」
ラスターがそう告げると、ルイは潤んだ瞳でラスターを見つめ、小さく頷いだ。
少しずつ押し進めるつもりだった。
だけれど、先を少し埋め込んだだけで、意識が飛ぶような快楽を感じ、衝動的に根元まで一気に押し込んでいた。
ルイからは悲鳴とも変わらない嬌声が上がる
ラスターも強烈すぎる快楽に「くっ…!」と堪えきれずにうめき声を漏らした。
「あぁっ…!ラスター…!」
「おまえの中…良すぎるだろ…!」
ルイのひざ裏を掴んで胸につくほど押し付けると、上から叩きつけるようにして腰を落とす。
ぐしゅぐしゅと音を鳴らし、ペニスを引くたびに蜜が溢れてルイの双丘の間を流れていく。
それがシーツにシミを作り、抜き差しを繰り返すたびに大きくなっていく。
「あぁ!あん!あっ!んっ!」
断続的に繰り返される律動と共に、ルイの喘ぎも繰り返された。
その声がラスターの耳に触れる度に、直接そこに響いているようにペニスが膨らみを増す。
理性なんてないようなものだが、それでもこれ以上煽られると困るのでラスターがルイの口をふさいだ。
「うぐっ…!んっんんっ!」
「これ以上、おまえの声を聞いたら、気が狂いそうだ…」
「んっ、な…ん」
「気持ちよさそうに、啼くから、余計啼かせたくなる」
そう言われてルイはこれ以上ないと思っていた限界を超えて、さらに体が熱くなる。
啼かせてほしい。
もっと奥へ、深い場所へ、突き入れてほしい。
そう思った時には体が勝手に動いていて、ラスターの腰に足を絡めて結合を深くしていた。
自らも腰を動かしてラスターの律動に合わせてルイも腰を打ち付ける。
パンパンっと肌がぶつかり合い弾ける音と、二人分の乱れた吐息が部屋に響きわたる。
積極的なルイの行動に触発されて、ラスターはルイの腕を掴むと、動かないようにベッドに縫い付けて加減せずにグラインドを繰り返す。
どんなに奥深い場所を突いていても、もっともっと先に行きたいと思ってしまう。
まだ先にもっと凄い快感があるのだと思わされる。
ラスターは気が狂いそうだと言ったが、きっともう、狂っているのだ。
他のものは何もいらない。
この快楽と、この肉体さえあればそれでいい。
それしか考えられない程、狂わされていた。
中を抉るように腰を打ち付けていたラスターだったが、不意にルイの中の収縮が強くなった事に気付いた。
「おまえ…」
「もうダメ…!俺、イッ…ちゃ…!」
ルイがそう言いながらラスターの腰に巻き付けた足の力を更に強くする。
「待てっ!離せ!」
「無理っ、だって、こんな気持ちいいの…!」
狂わされていたのはラスターだけではない。
ルイもまた、快楽に全てを奪われて、快感だけを感じるようになっている。
ラスターに腰を擦り付けて、挿入を深めながら中は収縮を繰り返す。
そんな事をされてしまってはラスターも限界が近い。
自身のペニスの根元の方に亀頭球が膨らむのが分かった。
「ルイ!ダメだ!」
「お願い、このまま中で…」
紅潮して濡れた瞳で懇願するルイに、ラスターの本能が反応してしまう。
中に出したい。
孕ませたい。
そんな欲望だけが体を支配した。
「くそっ!」
縋り付いてくるルイを強く抱きしめて、ラスターは乱暴に腰を打ち付ける。
ルイとラスターの間にあるはずの境界線は、もうどこにあるのか分からない。
熱すぎると思った自らの体温ですら、二人の間に隔たりを持たない。
それからわずか数回の律動を繰り返して、強烈な射精感を感じた時には、ラスターはルイの中で濁流のような吐精を果たしていた。
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