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第9話

「こんな凄い建物が校舎だなんて…お城みたい」 まるでヨーロッパにある古城の様に、そのあまりの荘厳さに驚きと感激がホームシック気味だった僕の心を浮上させてくれる。 けれど同時にとある不安が出てきた。 …待って。僕、本当に間違ってないよね?ここに入学するので合ってるよね? 思わず疑ってしまう。 もう1度間違いがないかとスマホで合格通知を確認してしまった。 画面には、ちゃんと僕の名前と合格のお知らせが書いてある。 はぁ~良かった~間違ってない。 「え~っと…確かクラスは…」 ここでは生徒それぞれに専用IDがあって、それによってクラス分けも学園連絡も、他のこともある程度全てスマホで出来るので有り難い。 裏を返せば全てを把握されているということでもあるけれど…。 クラスは1年1組と表示がある。 僕はスマホをしまうと、自分のクラスの下駄箱を探して歩いた。 「あっ、あった。下駄箱はここか…」 やたらとオシャレな感じの下駄箱で、僕がノロノロと室内履きに履き替えている間にもどんどんと皆に抜かされていく。 急がなきゃ…! どうやらここはΩ専用の下駄箱でαは別の場所にあって、さっき確認した校内地図を見る限りαとΩが顔を合わせるのは教室になるみたいだった。 どんなαが居るんだろう…。 僕は半年前のクラスメイトの一件から、少しαが怖くなっていた。 また否定されるかもしれないと思うと萎縮してしまう。 実際にあれ以来、αに対して全く上手く対応出来なくなってしまっていた。 ダメダメ。 あんまり考え過ぎると良くないって、お兄ちゃんも言ってたし。 僕は僕なりに頑張ればいいんだ。 そう。 万が一、ヒートがこの先来なかったとしても僕みたいなどんくさいΩでも1人で生きていける方法を学校で学ぶんだ…!

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