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第13話

αは僕の方に横柄な態度で体ごと振り向いた。 「…っ」 その顔を真正面からしっかりと見た僕は息を飲んだ。 体が思わず震える。 αは顔が整っていて当たり前だ。 それでも色んな顔がある。 目の前の人は一段と顔の良さが際立っていて、僕が見たαの中でもナンバーワンを争うと思う。 テレビの俳優よりも顔がいいかも…。 なんだか眩しい感じがするし、オーラに圧倒されて息をするのも苦しくなってくる。 何なんだろう、このαは…こんな人に会うのは初めてだ。 優秀なαほど顔も良く、顔が良いから更に世間からもα同士の中でも尊敬され羨望の眼差しを向けられる。 その事で能力も合わさって地位も自然とみんな高い。 きっとこのαも相当優秀に違いない。 目の前のαはキリッとした眉の下にある二重の綺麗な目で僕をジッと見てくる。 カッコいいけど、でも、怖い…。 筋の通った形の良い鼻の下にあるのは、真一文字に結ばれた唇。 その唇から次に何を言われるのかと不安が募ってくる。 Ωに対して平気で威圧的な発言をする人もαの中には多い。 ヒエラルキーの頂点と底辺の差は、まだまだ埋まっていないのが現実だ。 益々冷や汗が流れてくる…このジリッとする圧力に押し潰されそうになって視線を横へ逃がしてしまった。 これがα…選ばれた人間なんだ…。 『落ち着け』と心で自分に言い聞かせ、それから小さく深呼吸をすると、どうにか目だけをチラッと向けることが出来た。 相手は相変わらず上から僕を見下ろしている。 この人、上級生かな…。 あれ?制服じゃない…この人、スーツ着てる? 保護者…? 「おいお前、新入生か?」 「!!」 αが、その魅惑的な声とは違い偉そうな口調で訊ねてきた。

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