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5.アクマで鬼畜な麗しの従弟のお仕置きプレイ②

 色々と考え深いところもあって、コーヒーショップでサイドイッチを食べながら長居してしまった。復活した交通機関に揺られて自宅へ向かって、たどり着いたのは午前十一時ごろである。朝食中の店内で悶々と考え事をしている際に皐月くんからラインがあった。『何時ごろ帰ってこれそう?』と。何も知らない皐月くんにどこか罪悪感を覚えながらも、『もうすぐ電車に乗る予定だよ』と返すと『今日は伯父さん伯母さんが旅行で留守だから、寂しいです。待ってるから』と可愛らしい言葉が返ってくる。皐月くんも、ご両親を亡くしてやはり寂しいのだ。彼は、性欲に塗れた欲求不満のただの中学生ではないのだ。可哀相、だなんて言葉にしては余計に可哀想だけれど、とにかく彼は心持ち寂しい人生を、幾ら俺の家で可愛がられているからと言っても、過ごしてきた中学生なのである。 「おかえりなさい、柳さん!」  そんな寂しい中学生の皐月くんが、今日も麗しい女の子とも見まがう華奢な私服姿で玄関で、足元を軽く交差させた形で立って俺を迎えた。俺からは見えないが、後ろ手にはスマートフォンをもっている。 「ただいま、皐月くん」 「柳さんも、台風のせいで大変な目にあったね。疲れてない?」 「ああ、うん、ありがとう。一晩くらい、仕事詰めだったわけでもないし大丈夫だよ」 「本当に?」  何が『本当に』なのだろう。二人でリビングに向かって、どさっとソファーに身を沈めてネクタイを解きながら、目の前に立っている皐月くんを何気なく見上げる。目が合うと、皐月くんは妙に色のない真顔で、人形のように無表情に俺を見つめていたからドキッとする。いや、ギクッとする。昨日の大輔とのこと、見透かされている気がして目を逸らす。 「本当に、大丈夫だよ」 「ふーん……まあ良いけど」  意味深な言葉を放つ皐月くんが、まさか知らない間に追跡アプリを自分のスマホに入れているとは知らない俺は、皐月くんが何とか納得したことにホッとして、スーツの上をソファーに脱ぎ捨てて、Yシャツのボタンを一つふたつ外してやっと一息つく。 「皐月くん、お昼何にする?」 「カップ麺で良いよ」 「そう? 俺はさっき食べてきたばっかりだからさ……夕飯は俺が、何か作ってあげるね」 「ふふ、柳さんの手料理楽しみ。僕、オムライスが食べたいな」 「オッケー。っていっても、そんなに上手じゃ無いから、あんま期待しないでな?」 「あなたの作るものなら何でも美味しいよ。あ、それより今日は、午前中に荷物が届くから」 「? そうなんだ、皐月くんの荷物?」 「うん、僕が出るから柳さん。今日は一旦、仮眠でも取った方が良いんじゃない?」 「そうだね、そうさせてもらおうかな」  言って俺はスーツの上を持って、まだリビングで寛ぐらしい皐月くんに見送られながら、二階の自室へと上がっていった。部屋に着くと、ふらふらと私服に着替えて、そのままばったりベッドに倒れこむ。オムライスか……材料あったかな。そんな風に考えながら、俺は昨晩中の行為からの疲れに、ウトウトと眠りに誘われていった。 ***  次に俺が目を覚ました時、真っ先に感じたのは頭上に上がった手首の違和感であった。ガショ。横向きに寝転がって不自然に万歳をした姿勢を直そうとしたところで、その金属音がなる。 「えっ」  いつも通りの間抜けな俺の声である。俺は疲れからか、随分熟睡していたらしい。見ると両手首が、玩具なのか本物なのか、銀の手錠でパイプベッドのパイプ部分に絡め付けられていた。こんなことをするのは一人しかいない。というか、今日この家には俺以外に一人しかいない。服は……大丈夫だ、まだ着ている。柄Tシャツの上に長袖シャツを羽織っていて、下は緩めのジーンズというラフな格好だ。 「さ、皐月くん、ちょっと!!」  そう、皐月くん。俺の麗しの従弟である。こういう悪戯をするのは、彼しかいないのだ。声をあげて名前を呼ぶと、すぐに廊下から足音が聞こえて俺の部屋の扉が開く。そこにはキラキラといい笑顔の、バス籠に色々荷物を持った可愛い皐月くん。困惑している俺を見ると改めてニッコリ笑って、ずんずんとベッドの方に近づき、荷物を脇の机に置いて俺が寝転がったベッドに腰かける。 「おはよう、柳さん。もう二時だよ」 「あ、俺そんなに寝てたんだ……じゃなくて、これ! 手錠なんかどこから持ってきたんだ? 外してよ!」 「ふふ、だーめ。今日はいっぱい柳さんを可愛がるって決めてたんだ。こうしておかないと柳さん、これから多分逃げちゃうくらい気持ち良くなるから。それに、」 「そ、それに?」  一度俯くと、ゆらりと顔を上げて暗く邪悪な笑みを俺に見せてくる皐月くん。元が美しいだけに余計に恐ろしい。ザワッと嫌な予感がして、『え、あの』とやっぱり間抜けに何かを誤魔化そうとした俺の顔の前に、皐月くんはスマホを取り出してつき付けてきた。 「昨日の柳さん、ラブホテルに泊まったんだよね……誰と?」 「どうしてそれをっ……て、あ、ちが、ってかえ? なにその画面???」 「追跡アプリだよ。知らないの? 僕、いつも無防備な柳さんのことが心配で、いつかこっそり柳さんのスマホにもインストールしておいたんだ」 「追跡アプリって、何?」 「だから、柳さんがスマホをもって歩いてたら、いつでもどこでも僕に居場所を教えてくれる、便利なアプリ」 「げっ……それって普通、お互いの了承の元に使うものだろっ?」 「まあまあ、それは置いといて。で、ラブホテルって普通誰かと二人で入るものだよね。誰と入ったの?」 「そ、れは、ラブホテルに入ったのは他のホテルが空いてなかったから仕方なくでして、」  何故か敬語になりながらも質問をはぐらかす俺の顎を、ぐいっと掴んで皐月くんは至近距離まで顔を近づけてくる。 「じゃなくて、『誰と入ったの』?」 「……」 「柳さん、なんでそんなに露骨に目を逸らすの? 他のホテルが空いてなかったから『仕方なく』泊まっただけなんだよね?」 「そ、ソウデス」 「なら一緒に、泊まった相手も教えてくれても何の問題もないよね、だって『何もなかった』んでしょう?」 「ぁ……、」  こういう所でスルリと嘘を付ける人が羨ましい。俺は嘘が下手なのだ。こんなことなら最初から『大輔とラブホで一晩、何事も無く泊まった』といえばよかった。こんなに誤魔化して目を逸らして、これでは『何かあった』と言っているも同然で、皐月くんも勿論そう思っているようである。 「まあ、これから嫌でも言いたくなるだろうから、今は良いよ。それより、ちょっと待っててね」 「えっ、どこいくの? 行く前にこれ、外してってば!」 「言ったよね、可愛がってあげるって。だからまだ外さない。お風呂行ってくる、すぐ戻ってくるよ」  不穏に口の端をあげ、皐月くんは俺の部屋を後にした。皐月くんが戻ってくるまでの間に、皐月くんがさっきもってきた荷物をちらっと見上げる。シャンプーほどの大きさのボトルに入った何かの液体と、悲しいかなこの歳になると嫌でも解かる、ピンク色のローターに、紫色をしたテコボコのバイブ。やっぱり皐月くん、逃げ場のないこの状況で、俺の身体を散々に弄ぶ気のようだ。昨日も散々大輔に抱かれて腰が痛いのに……俺はどうなってしまうんだろう。今からぞっとしていると、いった通り皐月くんがすぐに戻ってきた。その両手には湯気の立った洗面器。 「お待たせー、持ってきたよ……エネマグラ」 「エネ……なに?」 「あ、柳さんも知らないんだ。僕も昨日初めて知ったんだ、コレのこと」  言って洗面器から取り出した、ほかほかに温まっているそれ、エネマグラとは、奇妙にうねったプラスチック製の何かの用具のようで。もしかしなくてもアレ、あの突起部分。俺の勘が言っている。アレを、俺のお尻に皐月くんは入れるつもりなのだと。でも、机の上にある極太のバイブよりは楽そうだ。そう思っていた時期が、俺にもありました(デジャヴ)。皐月くんは洗面器とエネマグラを置いて、また続ける。 「僕もね、まだ中学生だから。色々勉強不足な所もあって柳さんには申し訳ないと思ってるんだ」 「皐月くん……きみは充分そう言う知識に長けてるって」 「だから日々、こちらの文明の利器・スマホを使って勉強してるわけでね。今回はその勉強の成果だよ!」 「はあ」  嬉しそうにキラキラ顔を輝かせて、皐月くんは俺のジーンズと下着をいっぺんに脱がしにかかる。『あ、ちょっと!』と声だけで抵抗した所で無駄だ。俺の両手首はベッドに手錠で括り付けられている。それに、可愛く華奢な皐月くんを自由な両足で蹴り飛ばすわけにもいかない。さっさと俺の下半身は剥き出しになって、俺のお粗末な性器も空気に晒されて、部屋の空気にぶるりと震えた。皐月くんはさっき俺が見た何かの液体が入ったボトルを取り出してキャップを開け、ドロリと粘度の高いその液体を手の平に広げる。 「それ、もしかしてローション?」 「そうだよ。いつもより粘度の高い、乾きにくいのを取り寄せたんだ、ほらっ」 「ひっ」  俺の後ろ、白い双丘を割り開かれてアナルがくぱ、と丸見えになる。なったと思ったら性急に、皐月くんのローションに塗れた指が俺のナカに一本入ってきた。ずる、ず、とナカを這う皐月くんの細い指はしかし、いつものように前立腺を突く事はせず、ただ俺のナカにローションを塗りこむ作業をしているようで、なんだか痔にでもなって肛門科に来たような可笑しな気分になる。とはいえ慣れた俺のアナルはすぐに先を期待してしまって、ヒクヒクと皐月くんの指を刺激しては先を強請るようにきゅん、と絞まる。それでも皐月くんは暫く黙っていて、充分にナカにローションを塗りたくったと思ったら、指を抜いてくれるからホッとする。が、それも束の間。 「あっ?」 「じゃあ早速、柳さんの可愛いケツ穴にエネマグラ、挿入ー」 「んっ……」  ナカに、やっぱりの突起が入ってきた。他にうねったプラスティック部分、外に露出した部分は睾丸の後ろ、アナルの前辺りをグッと押して刺激するような形だ。でもしかし…… 「さつきくん……これ、なに、」  柔らかい刺激とジンジンと温まる(エネマグラとやらがお湯で温められていたからか)ようなナカに、俺は戸惑いを隠せない。皐月くんはわくわくと輝く瞳で俺のことをじっと眺めて、ベッド脇に膝を付いてはベッドに肘を突いて、言う。 「柳さんは、お尻に集中して……段々と、気持ち良くなるはずだから」 「えっ、あっ!?」

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