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6.アクマで鬼畜な麗しの従弟と冴えない俺の平日のお遊び①
麗しの黒髪美少年である中学二年生の少年が、今年度に入って我が家で暮らし始めた。名は『皐月』くんという。皐月くんは、地毛で肩までの茶髪に冴えない一重のモヤシ男……いや、新米サラリーマンである俺『東雲 柳』の叔父の息子、つまり従弟である。彼の母親は彼が小さい頃に病気で亡くなっており、父親の片腕のみで育てられた皐月くんだったが、今年の春にその父親も、不慮の事故により亡くなってしまったのだ。葬儀に際に皐月くんを厄介もの扱いして押し付けあう親戚等に業を煮やしたベテラン営業マンの俺の父が、『皐月くんは家で引き取る!』と、彼は叔父と頗る仲が悪かったというのに宣言して、だから皐月くんは俺の家で暮らしているのだ。
正直言って、葬儀の際に久しぶりに皐月くんを見た時は天使のようだと思った。それくらいに皐月くんは、色白で華奢な美少年なのだ。しかしそんな天使のような皐月くんは、我が家に来た初日から俺を狼的な意味でタチ的な意味で襲ってきて無理矢理フェラをさせるような、更に言えば満員電車や彼の中学校内のトイレで俺を犯したり、また更に最近のことを言うとエネマグラとか言う道具を使って俺で遊ぶような、アクマで鬼畜な中学生なのであった。
おまけに、そんな従弟の皐月くんに悩んでいる(まあ、多少は俺だって悩んだりする)俺の大学時代からの友人であったイケメンサラリーマンの『鏑木 大輔』にまで俺は迫られて、台風の夜にうっかりラブホテルに連れ込まれて気を失うほどにセックスしたりして、今となっては従弟と友人(両方男)に板ばさみにされている最中で、そんなてんやわんやの日々が、台風も過ぎ去った平日の始まり、月曜日の朝の今日も始まろうとしていた。
(父さん母さんの温泉旅行のお土産の饅頭、おいしかったな、)
饅頭の夢を見て目を覚ました俺は、目覚めるなりそんなことを考えて欠伸をしながら、部屋着のままでまずはトイレに向かう。いつもだったら寝坊しかけて、母親によって派遣された従弟の皐月くんに起こされるのが相場だが、昨日である日曜は皐月くんに襲われることも無く平和に良く眠れたから、今日は珍しく早起き(といってもいつもの十分前だが)できた。
(そういえば、部長……あの日、部長の顔潰しちゃったけどどうしよう)
トイレの中で、金曜日にセクハラ部長にホテルに連れ込まれかけたこと(そしてそれを大輔に救われ、今度はその大輔にラブホテルに連れていかれたこと)を思い出しては休日には忘れていたそれにサァッと顔を青くする。大輔は大輔の勤める大手企業(うちの中小企業と同業)の名刺でもって部長を威嚇して、部長に勝ち誇っては俺を連れ去ったのだ。部長は俺に上司命令として一緒にホテルで泊まることを強要したのに、あんな。今日の朝、部長と会ったら何て言おう。どんな態度をとれば許されるだろうか。考えながらトイレから出ると、ニッコリ笑顔の皐月くんが学ラン姿で、トイレの前の廊下に寄りかかって立って待っていた。
「あ、おはよう皐月くん。ごめん、順番待ってた?」
「ううん、おはよう柳さん。僕は順番じゃなくてあなたを待っていたんだ」
「俺を? なに???」
と、疑問もそこそこに俺は皐月くんに腕を引っ張られて自身の部屋に連れ込まれ、ニコニコ上機嫌の皐月くんによって押されて、ドサッとベッドに逆戻りさせられた。
「え? 皐月くん。俺、早く仕度しないと遅刻、」
「うん。だから僕も、今日のあなたの仕度を手伝ってあげる」
「えっ」
言って部屋着の俺の短パンを、なぜか下着ごと脱がしにかかる皐月くんである。俺はワタワタしてそれを止めようとしては『大人しくしないと、犯しちゃうよ?』と脅され大人しくなって(年下相手に情け無い)、上はTシャツ下は真っ裸の格好になっては仰向けに押し倒され、いつもの小袋のローションを口元で開けた皐月くんに、アナルが丸見えになるほど思い切り、片足を持ち上げられた。
「ちょっ、皐月くん! 俺、大人しくしてたよね!?」
「だから、犯しはしないよ? ただちょっと、これから離れ離れになる柳さんと今日は、一日中玩具で遊ぼうと思って」
「一日中って……ひっ?」
男に慣れたアナルにさっさと指でローションを塗りこまれる。『それで俺のトイレを待っていたのか』と変に納得している内に今度はこの前、土曜日の昼間に目撃したピンク色のローターを、ひとつ、ふたつ、アナルの中に挿入された。線で繋がったそれの本体を、付属のテープで太ももに固定されたと思ったらしかし、挿入したままで皐月くんは俺の下着を拾い上げて、俺の下半身に穿かせてくる。勿論俺の中にはローターが挿入されたまま。涙目になって疑問符を浮かべっぱなしで、皐月くんに『え、え?』と疑問を呈してむくりと起き上がると、お尻の中の異物感にぶるりと身を震わせる。皐月くんは得意のスマホの液晶画面をこちらに見せびらかしてくる。
「装着完了って、画面にも出てるよね? ソレ、勝手に外したら僕にも通知が来るようになってるから」
「それって?」
「ついでにこのアプリとローターは連動していてね、僕の好きな時に……ほらっ」
「っ、いっ!?」
皐月くんが俺に画面を見せながら、『振動ON』の辺りをタップすると、下着の中、体内でローターがヴヴヴ、と振動し始める。それは器用に俺の身体を知りつくした皐月くんによって、俺の前立腺に当たるように挿入されていたから俺は股間を勃ちあがらせかけた、が、すぐに皐月くんが『振動OFF』をタップしたから助かった。
「と、このようにどこからでも、操作できるようになってるから、ね?」
「ね、じゃないよ! こんなの付けて仕事しろっての? そんなの無理に決まって」「鏑木さんとのこと、」
まくし立てかけた俺の言葉に皐月くんの声が重なる。ベッドに座りこんでいる下着姿の俺の手に、彼はその白い手をそっと重ねて顔を近づけて、俺の耳元でそっと、重く囁く。
「まだ、許したわけじゃないんだよ?」
少年らしいアルトボイスなのに迫力のある声に、俺はサァっと冷や汗をかく。鏑木……即ち大輔とのこと。俺が大輔に、皐月くんのいないところで抱かれた時のこと、皐月くんはすっかり機嫌を直したと思っていたのに、まだ怒っていたらしい(といっても実はそんなのはただの口実だったらしいのだが、この時の俺には知る由もないことだ)。口を噤んだ俺に皐月くんは満足して、『さぁ』と俺の背中を叩いて彼もベッドから立ち上がる。
「じゃあ、スーツを着てご飯を食べて、今日も一緒に電車に乗っていこうねv」
そんなこんなで俺の、快楽に満ちた地獄の一日が、始まったのであった。
***
いわれた通りに朝食を摂って、皐月くんと二人で電車に乗って途中の駅で別れ、俺は会社へと辿り付いた。その頃にはもう体内の異物感のことで頭がいっぱいで、部長の事など忘れていたのだが、
「やあ、おはよう東雲くん」
エレベーターに乗りこんで、扉が閉まるのを待っていた時に部長その人がやってきた。狭い箱の中に部長は俺と二人きりになるようにすぐ『閉める』ボタンを押して人を閉め出して、それから顔を青くして『お、はようございます』とどもっている俺のすぐ横に並んで立つ。今時の高速なエレベーターなのに、勤める部署がある階までが酷く長く感じた。しかもその中で部長は俺に話しかけてきたのだ。
「金曜日、あの後は無事に泊まれたかい?」
「っ……は、はい、お陰様で。部長には、なんというかその、せっかく部屋をとって頂いたのに俺、」
「ハハ、君が謝ることはない。私も急ぎすぎたしね……それに、悪いと思って欲しいのはどっちかって言うとあの、鏑木さんといったかな」
「!!」
「真面目そうに見えて、随分高圧的な男だったねえ。彼と東雲くん、あの日の混雑で一体どこに泊まったんだ?」
「あっ、それはその! 普通に決して何事も無くですね、」
「東雲くん」
無意識に赤く涙目になっていた表情に、部長のごつごつした手の甲が触れてくる。それからすいっと背の高い部長だから俺を覗きこむように少し屈んで、低く囁いてきた。
「私は『どこに泊まった』と聞いただけで、『何かあったか』とは聞いていないよ?」
「ーーーーーっっ!!」
どかぁっと、益々顔を真っ赤にして、俺は墓穴を掘ること掘ること。そんな所でエレベーターが会社のフロアに着いて、だから部長は『クス』と少し笑っただけで俺より先に、エレベーターを降りていった。墓穴を掘ったは掘ったが、部長、俺にはそんなに怒っていないようだ。それについては良かった、と、体内にローターを埋め込んだままの俺はぎこちない足取りで会社の中へ、部長の後について入っていく。
***
午前中の俺は会議の資料作りに追われていて、デスクの前からコピー機の前へ、立ったり座ったりを繰り返していたというのに皐月くんは、遠い中学校内で勉強をしているはずの皐月くんは容赦なく、遠隔操作で俺の中のローターを悪戯に小刻みに振動させてきていた。前立腺に当たって絶妙に気持ちが良いとはいえ、皐月くんも俺がサラリーマンなのを分かっている。午前中の振動はごく短いものだったから俺は、勃起させるまではいかずに耐えることが出来たのだ。しかし会社から遠い教育の場、昼休みに入ると皐月くんからラインが入って『写真に撮ってみせて?』とのことである。逆らったら、既読スルーなんかをしたらきっとこのあと鬼のようにメッセージが入るだろうから仕方なく、俺は会社のトイレの個室に入って下を脱ぎ、間抜けに玩具の線を垂らしている臀部の写真を、穴までは見えないように入っていることが確認できるように撮っては、二人の会話の履歴に残らないようにラインではなくメールで送った。皐月くんからの返事はこうである。『良く我慢できました(ハートの絵文字)』。『午後はもう少し強くするからね』。恐ろしいメールにぞっとしていると、誰か会社の者がトイレに入ってきたから俺は、個室内とは言え急いでスーツの下を引き上げて、昼の弁当を食べるためにデスクへと戻っていった。
そしてその時は、突然やってきた。
「東雲くん!」
そう呼ばれたのは会社にいる俺ではなく、中学校で英語の授業を受けている皐月くんであった。上機嫌に、リスニングの音声が流れている教室内、机の下でスマートフォンを弄っていた皐月くんはハッとして、ローターの振動を『ON』にしたままで、スマホの簡易電源を切る。と、すぐさまそれは女教師によって取り上げられてしまったのであった。
「あっ」
「授業中にスマホなんかを弄っちゃだめよ。真面目なあなたにしては珍しいことだけど……放課後まで、これは没収します」
「うわ、」
「担任の先生に預けておくから、SHRの時にでも返してもらいなさいね」
「……」
「返事は?」
「はい、先生」
俯いて反省している様子の皐月くんに、麗しい美少年に女教師も納得したようで、皐月くんのスマートフォンをもってまた、教壇へと去って行く。しかし皐月くん、決して反省しているわけではないのだ。振動が『ON』のままにしてあったことが可笑しくて堪らなくて、会社で仕事をしているはずの俺がどうなってしまうのか見てみたくて堪らなくて、笑いを堪えるために、ただ俯いていただけなのである。
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