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6.アクマで鬼畜な麗しの従弟と冴えない俺の平日のお遊び③

 急に部長が、タイルに膝を付いて跪く。驚くまもなく喘いでいる俺は、次にはごしゅごしゅと擦ったままの部長の手で、『あ』と大きく開けたガチゲイの部長の口内に向かって、 「私に、くれるよね? ほらっ」 「ぁう゛っっv!?」  ぴゅるっっ、ぴゅるぴゅる。と、精液を注ぎ込んでしまった。そうしてズルリ、と壁に背を付いてトイレの床にへたり込んで、するとやっぱり甘露のように俺の精液を飲み干して口元を拭った部長が、ぬっと、ぬるっと急に優しく俺のアナルに埋まったローターを引き抜いて『くれた』、と言うべきか。 「んっ、ハハ。盛大にイッたねえ」 「はぁ、はー、あ……部長、ぶちょ、すみませ、俺、あなたの口に……!」 「良いんだ。美味しかったよ、東雲くん……それに今度は、君の番だ」 「えっ」  賢者モードに浸って今後の社会人生活に思いをはせている俺の目の前で、部長は今度は立ち上がって自身のスーツ下から、随分太い(皐月くんよりは短い)ペニスを取り出して、へたり込んでいる俺の頬にぺちっとそれをぶつけてきた。むわっとした匂いに『うっ』と俺は咽て、顔を反らしたが部長に頭を掴まれて戻される。 「自分だけ気持ち良くなろうってことはないよね、東雲くん? 君の可愛いオクチで、君の痴態で勃起した私のペニスを慰めてくれ」 「やっ……そんな、だってさっきは部長が勝手に、」 「『勝手に』? 皆の前で勃起して、甘い声まであげた君を庇って、ここまで連れてきて抜いてあげたのは誰かな?」 「……うっ」  すり、すり、と頬に部長の男臭いモノを擦りつけられて嫌悪感を覚える。俺だって、皐月くんと、大輔にまで抱かれたけれど、フェラをしたことがあるのは可愛い美少年の皐月くんにだけなのだ。こんな成人の、オジサンに片足を突っ込んだような好きでもない男のモノを咥えたことなどないし、咥えるつもりもない。だけれど、部長の言うことにも一理ある。俺は部長に助けてもらったのだ。ローターだって抜いてもらった。 「それとも君の、可愛い可愛い下のオクチで、私のモノを慰めてくれるのかい?」 「……その、手、手で、」 「ん?」 「手で、抜いてさしあげますので、それで……勘弁してください、部長」  無意識だがウルウルと小動物めいた視線で部長を見上げると、元々俺のことを可愛いと思っている部長だ。『うっ』とノックアウトされたようでツンと来た鼻を抑えては『ハハ』と笑って誤魔化して、言う。 「分かった、分かったからそんな目で見ないでくれ。本当に、君をこのまま犯したくなる。これでも業務時間内だからね、手で許してあげるよ」 「……ありがとう、ございます」  もう勃ち上がっている部長のペニスに手を添えて、俺はゆっくりと部長を手コキ、し始めたのであった。 ***  仕事終りに大輔と待ち合わせをして、その日珍しく空いていた居酒屋の個室に二人で入って俺は、性懲りも無くベロンベロンに酔っ払っている。 「そんで! 部長ってばイく直前になって突然さ!? 俺の頭を引っつかんで……約束と違うんだって! 口にぶち込んできたんだよぉ!!」 「……」 「俺、思わず隣りの便器にすぐさま吐きだしたよ!? うええーって!! でも後味、今でも残ってるみたいで!! うええ、大輔ぇ、酷いよな!!?」 「……」 「だいすけ? だーいすけ、大輔くーん??? ぷはぁっ、きいてますかぁ?」  苦手なビールを約五杯目、飲み干しては隣に座った(俺が隣に移動してきたため)大輔の肩に頭を乗っけて、酒臭い上目遣いで大輔に問う。酔っ払った俺から今日の全てを聞いた大輔はさっきから、深刻気に、暗い顔で黙り込んでいる。ぺちぺちと頬を叩いて『ふへへ』と俺が笑ったところでやっと、ガッと顔を上げては隣りのブースにまで届きそうな声で、大輔が心の叫びを口に出した。 「っだああ!! どうしてお前はそう、頭も股もユルユルなんだよ!!? お前に恋してる俺の気持ち分かって言ってんのか、あ゛あ!?」 「むっっ!? 股がユルユルって、失礼なこと言うなよ!! 部長には抱かれてないぞ!?」 「分かってるよ聞いてたよ!! 抜かれたんだろ? 後ろに指突っ込まれたんだろ!? お前は本当に迂闊なんだから、あんなに男には気を付けろって言ったのに!!」 「むぅ、そんなに怒鳴るなよぉ……」 「大体朝からあのガキにローター仕込まれて、黙ってそのまま出勤する時点で異常なんだよ!! 大体しかも、なんでそれをしたのが俺ってことになってんだ!? とんだ風評被害だっつうの!!」 「あっ、そうだった。アハハ、部長完全に、ローター仕込んだ犯人お前だって思いこんでるよ?」 「はああー……ほんっとうに、お前、お前なぁ、マジでどうにかガード固めろよ……今だってそんな、俺の前でベロベロになりやがって」 「だーいすけはやさしいから、こんな俺をどうにかしたりしませーん、よなあ?」 「……チッ」  舌打ちはしたが俺に信用されていることが嬉しいのか、同じく酒を煽っていた大輔が煙草に火をつけ照れ隠しをする。酔っ払って今日のことを全部話したこと、俺はあとになって盛大に後悔するのだが、今の俺には知りようもない事だ。つづけて急に、俺は皐月くんのことを思い出してはメソメソとしだす。 「うっ、そーいえば俺、帰ったら皐月くんにどうにかされる! 絶対される!! だってローター、途中で抜いちゃったし!!」 「ああ……それについてはお前の家庭内のことだ。俺には止めようがねぇよ、」 「うわああ、大輔せめて家まで送ってってくれよぉ、皐月くんに言い聞かせてくんない!?」 「別に良いけど、お前を挟んで喧嘩になるだけだぜ?」 「うううっ、それもそうか……はぁー、どうしよう、っていうかなんで俺がこんな目に???」 「だから、お前が迂闊なのが全部の原因なんだよ、もっとビシッとしろっての」 「……迂闊な俺がすきなくせに」 「なっ!!?」  ぼそっと深層心理を呟くと、大輔はそのイケメンを赤く染めて肩によりかかった俺を見返してくる。だから俺は『ふひっ』と不気味に(大輔からみたら可愛く)笑って、赤くなった大輔の黒髪を撫でくり撫でくりしてやった。 「冗談だよ、冗談。なーにホンキで赤くなってんだ?」 「本気だから赤くなるんだっつうの……てか、そうだ東雲、今日はついでにお前を誘いに来たんだ」 「ん、なに?」 「俺、この前車買ったから。一ヵ月後くらいに納車なんだ」 「へっっ???」 「だから気晴らしに、今度休みにドライブにでも行こうぜ? お前だって四六時中、あのガキと一緒にいることねえだろ」 「ドライブ、すっげー大人っぽい! 行くいくぅ!!」  空のジョッキを上げて『大輔のマイカーデビューにかんぱーい』なんて言っている俺を横目、本日酷い風評被害にあった大輔は、呑気な俺に半分困り顔、半分微笑ましく笑ったのであった。因みに約束通り大輔に実家まで送ってもらった際は、勿論皐月くんと大輔でバチバチモードの険悪ムードになった(ローターを付けっぱなしにしたことは皐月くんの方から謝ってきてくれたけれど、勿論それが原因で部長に手を出されたことも知られてお仕置きもされた)。

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