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7.『宇宙で桜を探す旅』

僕が識る桜の色は青い。元々は地球という星にあった花らしいけど、僕が居るこの惑星では、地表浄化用の装置だ。青い花が舞い散る中で、僕は放射性廃棄物を除去する法規を片手に、ぼんやりと上を見上げていた。見合いの話が来たのは昨日の事だ。僕には好きな相手がいるけれど、それは叶わない相手だ。 「ねぇ、サクラ」  僕の名前は、この青い花と同じ名前だ。僕の名を呼んだのは、次期皇帝陛下である。僕の好きな、ただ一人の相手だ。 「本物の桜を見たいとは思わない?」 「え?」 「宇宙で桜を探す旅――出かけてくれる人材を探してる。もし伝承に残るような、淡い桃色の花弁を見つけ出したら、ご褒美をあげるよ」 「ご褒美?」 「僕のキス」  二つ返事でうなずいた僕は、相当惚れ込んでいるのだと思う。こうして、宇宙で桜を探す旅が始まった。愛する人の、キスを求めて。  なお、本物の桜は、見つからなかった。うなだれて帰還した僕を見ると、皇帝に即位していた陛下は喉で笑った。 「それで良かったんだよ。君が俺以外と結婚させられそうになっていると聞いて、焦って旅立たせたんだからね」  僕を抱き寄せた陛下は静かに笑った。 「僕はサクラをとっくに見つけていたんだよ」

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