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34.『春の亡骸』
スーツのポケットの膨らみに気付き手を入れると、桜の花びらが大量に出てきた。
こんないたずらをする奴は1人しかいない。
幼い頃、桜の死骸だと言って、落ちたピンクの花びらを2人で懸命に集めた記憶が蘇る。
ため息をつきながら、ポケットに再び手を突っ込むと、指先に固く冷たいものが触れた。
お揃いの指輪を死骸の中に隠すなんて、なんて分かりやすいメッセージを俺に君は残したのだろう。
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