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第7話※
理性で押さえ込むには、限界があるほどの激しい官能。
余裕なんてない。
新月の肌に甘えるように舌を這わせながら、後ろ手に自分の衣服と臀部の隙間に指を滑らせる。
手首に引っかかり、ゆっくりとずり落ちるスラックスと下着。
指先に触れた蕾は、クチュ、と音がなるほど濡れていた。ドクン、ドクンと耳の奥まで響くような鼓動の高まり。
夜相の意識は加速度的に蕩け、これまでは心で、そして今は体で、本能で、新月を欲して狂いだす。
「ン、ん……っ、ぁ、……あ、ぁ」
小さく締まった尻を高く上げ、蜜で濡れそぼった秘部に二本の指を突き刺し、自ら奥深く咥えこんで抱かれるために広げる夜相。
燃えさかる脳を歯を食いしばり、微動だにすれば獣のように襲いかかる衝動に体を硬直させて耐えていた新月は、夜相の姿から目をそらせなかった。
人間が、獣の化物になるという体質。
生まれ持ってのそれが強烈なコンプレックスとして焼き付いている。
目立たないようにひた隠していたのに、どうしてあの夜屋上へ行ってしまったのか。
真っ暗な部屋で月の光を恨めしく睨みつける日々に、一縷の抵抗を持ってして駆け出したあの夜。
獣の体ごと誰かに愛されたいと心底願って踏み出した満月の初夜。
仄かに香るフェロモンですら自分を狂わせた夜相の香りが今、新月の視線を奪って仕方ないのだ。
「あァ、ッ、夜相、これ甘い、甘い……ッ」
「はっぁ、も、俺がする、するからっ……欲しいぃこれ、ぇ……っ欲しいぃ……!」
夜相の発情期のフェロモンはどんどん濃くなり、当人は頬を上気させ、足に引っかかっていたスラックスをよろめきながら脱ぎ捨てた。
一糸纏わない白く骨ばった体を火照らせ、夜相は布地を窮屈そうに押し上げる新月の陰茎を拙い指で取り出す。
そして新月のしっかりとした体に跨った細い足を震わせながら、どうにか腰を上げた。
尻を浮かせた夜相の下に晒されたヌラリと硬く勃起して長大な一物。
期待に緩んだ口元から唾液を零して、たまらない吐息を吐き出す夜相。
「今……したらっ……ひっ酷くしてしまう……ッお前を傷つけるかもしれない、」
荒い呼吸で新月はすでに変化を始めたのか、牙を向いて威嚇した。
言葉とは裏腹にその手は夜相の腿に触れ、今すぐにでも犯したいと獰猛な衝動を覗かせている。
その姿に、夜相は湧き上がる幸福と歓喜のまま微笑んだ。
「あっ……んぅ、うれしい……っにいづき、心配して、んの……? んっ……あ、っ」
自ら柔らかく広げた媚肉は、腰を下ろすとゆっくりと新月を胎内に迎え入れる。
ヒクヒクと収縮を繰り返す中は、待ち望んだ男の侵入に愛液をにじませて啜り泣く。
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