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第7話 迎えに上がりました。3
「さぁ。着いたようです。下りましょうか。」
手を引かれ車内から下りたさきには大きな建物があった。まるで城のように大きい建物に口が閉まらない。
「これからはここが葉月様の家になります。」
そう言ったセサルさんを見ると頭から丸い耳と長い尻尾が見えた。
(これが獣人…確かに豹の耳と尻尾。)
左右に揺れている尻尾が特に特徴的だと思った。
「では、中に。」
僕より少し前を歩いて扉を開けてくれた。
開けるとそこには、赤い絨毯を挟んで熊、猿、虎などの獣人達が執事やメイドの格好をしてお辞儀をしていた。
そのさきには、階段が見えた。
「おかえりなさいませ、葉月様」
その中でも一番年老いたセサルさんに似た人が話しかけてきた。
ずっと気になっていたけど、なんでΩなんかに敬語を使うんだろう。
「早速で、申し訳ないのですが湯浴みのち当主との謁見がございます。引き続きセサルがご一緒させていただきますのでよろしくお願いします。」
スッと身を引いて右側の道を指す。
たぶんそのさきに浴室があるのだろう。
コクンと頷いて右に向かって歩く。
何もかもが大きい。
獣人だからか、αだからかみんな背が高く、10人ほどの人たちに迎えてもらったが圧巻で声がでなかった。
その人らが使うのだから当たり前かもしれないが扉も、ローカに当たる道も、窓ガラスですら僕が思っている規模を遥かに越えたでかさですごい。
160センチの僕ですら扉のとってはいつものようには開けられない。肩の高さまで腕を持ち上げなければ開かないだろう。
「こちらです。」
これからは、もしかしたら自分で開けることはないのかもしれないけど…
言われた通りに中には入り、湯浴みをして出されていた服に着替えた。
浴室も予想を遥かに越える大きさだった。
用意された服は事前に寸法したかのようにピッタリでシンプルであったが質の良い物だとすぐにわかった。
「お疲れ様でした。では、参りましょうか。」
「…はい。」
テオバルド様…僕のα。
今になって緊張してきた。
嫌われないようにしないと…
一体、どんな人だろう。
他とは違う扉の前にたった。
なんだか、少しいい臭いがする?
コンコン
「葉月様でございます。よろしいでしょうか?」
セサルさんが中に確認をとる。
緊張が増した気がする
「入れ。」
これから会う人が………………
僕の運命。
扉が開いた。
緊張を逃すためにひっそり息を吸って吐き出したため息は、なんだか甘い果実の臭いがした。
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