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第14話 強制発情の副作用
「ぅえっ……ゲホ」
発情期は終わった。
今は、冷静になって目覚めた朝から2日間吐き気と頭痛がひどくトイレの前から身動きがとれない状態であった。
食べることができず水も飲むことが出来ない。
脱水状態になりかけながらも、テオバルト様に口付けで貰う水はやっとのことで飲めた。
発情期が終わり、3日目の朝に酷い頭痛で目が覚め動けず、その場で吐いてしまった。
テオバルト様は公務にいっておりそのときは席をはずしていたがセサルさんがすぐに気づいてくれ報告してくれた。セサルさんから匂うフェロモンに体が拒絶して余計に吐いてしまい退室を願ったが、テオバルト様がくるまでそばにいてくれた。
しばらくたって、テオバルト様が駆けつけた。
そのとき僕は、目も開けられないほどひどくて
優しく擦る手のひらがすごく安心した。
その後、テオバルト様が連れてきたオメガ研究委員会の方々が僕が意識を失った頃来たらしい。
今まで、強制発情期を迎えさせたペアがいないためデータ収集を含めた検査が行われた。
点滴で避妊薬を流し副作用が出たので中止し、フェロモン検査では異常な数値が出たため意識のない間での精密検査が決まった。
検査もすべて終わり僕の意識が戻ったとき医師はこう言った。
「葉月様。もしかしたらあなたは、子供が産めない体だったのではないでしょうか。」
βよりのΩであると言われたことがある。そう医師に伝えると医師はすごく申し訳ない顔をして
「これからくる発情期にたいして、葉月様は薬が効かないと予想されます。
そして、強制的に発情させたことでフェロモンの分泌腺が壊れ、過剰にで続けている状態であるため体質が変わりΩでも一人二人しかいないとされているΩ+というものに変わられたようです。」
Ω+初めて聞く言葉。
テオバルト様の方を見ると初めて聞く言葉ではないようで、驚いたようなそんな顔をしていた。
「あ、あの。Ω+とは?」
頭痛がひどくなった気がした。
「Ω+とは、フェロモンが過剰に出るΩとのことを言うのです。あと、多産であると報告されています。
フェロモンが過剰に出るからか、短命であるとも言われてます。
体質の変化により今の症状が現れたのだと考えられ、数日で治まることも予想されてます」
(短命かー。)
正直うれしい。
出来損ないといわれた僕にとってはうれしい変化だ。
腰に回された腕に力が入るのがわかった。
「テオバルト様?」
見上げてみるが、僕の方を見てはくれない。
真剣な顔で医師をにらみ
「短命を避ける方法は?」
冷たい声
怒ってる?
「今のところは…」
医師のどもった反応にテオバルト様の腕に力がより入る。
「短命とは大体何歳くらいなんだ」
「大体、25~30までには…」
そういった医師の言葉を最後にテオバルト様は黙ってしまった。
セサルさんが医師を見送りこの部屋は二人だけになった。
テオバルト様は僕のことをきつく抱きしめなにもはなさい。
頭痛はやむことはなかったが、吐き気はテオバルト様の匂いで幾分か楽だった。
彼の腕の中に顔を埋め匂いを確かめるみたいに何度も嗅ぐ。
「俺と、葉月は魂の番だ。」
一生俺と生きる存在なのに…
とテオバルト様は震える声でいった。
顔は見えないけど、匂いからすごく悲しんでるのがわかる。
今が18歳だからあと、長くみて10年。
そんなに彼のそばにいられるのか。
「10年足らずしかお前と一緒にいられないのか。」
(…………………ぁ)
僕は死ぬ。残されるテオバルト様。
価値観の違いといったら簡単だが、その言葉では終わらせたくない二人の思い。
「……こ、子供を。子供を作りましょう。たくさん。テオバルト様が寂しくないように」
僕がいなくなっても、子がいたら救われるなにかがあるんじゃないか。
そう思った名案。だが
「俺は、お前といたい。」
そうかすれた声で呟き唇が触れる。
僕は、大切な人の死を見たくない。ひとりぼっちになりたくない。テオバルト様もそう思ってくれるの?
勝手に目に涙がたまってきて抱き締められたままひっそりと泣いた。
僕は、自分のことしか考えれない薄情ものだ。
それから、副作用がなくなり3ヶ月がたった。
テオバルト様は公務を僕に与えられた部屋でやるようになり、四六時中そばを離れることはなかった。
初めての発情期からまだ発情期はむかえておらず。最近、また嘔吐が続いている。
そして、テオバルト様は爆弾を落とす。
「妊娠か。」
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