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第15話 先に逝く者と残される者1

テオバルト様がおとした爆弾は思ったより僕の心に波紋を作る。 「…………に、妊娠。」 ここに子供が…と思い変わりのない腹部にてを伸ばす。 「新しい家族か…」 テオバルト様は複雑そうな顔をしている。 僕がΩ+になってからというものいつも僕を見つめてくる。 僕を後ろから抱きしめる。 テオバルト様の腕の中に収まった僕は先程までしんどかったのが収まっていることに気づいた。 「……家族。」 あぁ、僕に家族ができたのか。両親に愛されなかった僕に。愛の知らない僕にこの子の親になる資格があるのだろうか? この子を育てていけるのだろうか? 容易に子ができるとテオバルト様を一人にすることはないと考えていたが、実際子供ができるとなんだか変な気持ちになった。 明日、医師を呼び確定検査をすることになったが僕も、テオバルト様もなんだか腑に落ちない顔をしていた。 夢を見た。すごく、長い夢だった。 自分の子がテオバルト様と手を繋ぎ、僕の先を歩いている夢だった。 夢を見ているとなんだかいたたまれない気持ちになった。 そして、どこかで僕は思ったのだ。 (テオバルト様のとなりは僕なのに)っと。 ふと思ったことが怖くて見てるだけの僕であったが体が動かせることに気づいた。 思いを振りきるように首を振り、テオバルト様と子が手を繋いでるのを見たくなくて反対方向に走った。 死んだ僕がいなくなった近い将来のことなのに。 こんなことみたくない。知りたくない。心のなかで叫びながら足を動かした。 子供なんてできなければいいと思っている辺り、やはりあの親から生まれたのだとガンガンと頭のなかで反響する。 子供ができてからそんなことを考えるなんて。 自分が浅はかで、醜いもだと感じた。 なんてずるい人間なんだ。 自分が、テオバルト様に好かれるように子を作ればいいといったり、実際できたら怖くなってこんなことを考えたり。 なんて最低なんだ。 頬に涙が伝う感じがして目が覚めた。 覚めて、テオバルト様の腕のなかではあったが寒く感じてよりテオバルト様にすがり付いた。 覚めてからずっとある空虚間を補おうとしてるのかもしれないが。 あんな夢見たことなんて知られたくない。 あんなことを思ったことなんて知られたくない。 こんな自分を知って軽蔑されたくない。 夢のことは忘れよう。 そう、テオバルト様の腕のなかで決めた。 この子とは僕なりに育てよう。僕なりの愛をあげるからテオバルト様を一人にしないであげてほしい。 残りの人生と引き換えにこの子にテオバルト様との時間を生きてほしい。 大切な人を。番が僕が死ぬことで心を病むことはない。そのために、この子にお願いしよう。 そのためだったら、僕は自分の浅はかな考えを捨てることができる。

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