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第19話 好きだから1

「あーーーーーーあああ」 後ろに指を入れられながら何度も何度も彼の手を止める。 これ以上やってはダメだ。挿られるわけにはいかない。 今は子がいるのだ。僕とテオバルト様の繋ぎがここにあるのだ。 「あぁっ!……お願い……お願いします。……い、やぁやめえて」 グッと挿られた指に力が入り、ほんとに抱かれてしまうと焦る。 それに、涙も出てきて体も震え始めてきた。 「葉月……」 それに気づいたテオバルト様が指を止めた。 「葉月、俺はお前を失いたくない。俺は、お前が大切なんだ。」 ポタリと僕の頬に水が落ちてきた。 「ぁ……」 泣いてる。テオバルト様が泣いてる。 僕を思って泣いてくれるの? こんな僕のために泣いてくれるの? 体を起こし涙を流す彼を抱きしめる。 αは強い。強いから上にたつ。そう思っていた。でも、この方は何て脆いんだろう。 僕なんか捨てて、他の新しい番を見つければいいのに…… 何て、いとおしいんだろう。 僕を思い涙を流し、動く。 これが魂の番というものなのか。 「……テオバルト様。 テオバルト様、ちゃんとお互いに話し合いをしませんか。僕は貴方の気持ちが知りたい。」 「……っ。……ぁあ」 テオバルト様が謝りながら乱れた服を直し、体調に変化がないことを確認した上でソファに座り直し僕を腕のなかにいれた。 そして、目が合い話を始めた。 「僕は、テオバルト様に幸せになってほしい。僕は愛を知らなかったから。 ここに来て知った愛は僕の宝物なんだ。 こんなにも、好きになるなんて。家族ができるなんて。僕は今すごく幸せ。だから、テオバルト様にお礼をしたいんだ。僕を拾ってくれてありがとう。幸せにしてくれてありがとう。家族をくれて、なってくれてありがとう。ってだから、僕は何か残せたらって考える。」 本心を打ち明けるのは少し怖い。でも、、、 お腹をなでならがテオバルト様に気持ちが数㍉でいいから伝わればいいなって思う。 「お礼って。ただ、俺は、勝手にここに連れてきて抱いて、……死期を早めた最低やろうなのに」 悔やんでいる。僕をここにつれてきたこと、すべて。 僕はここに来たから救われたのに…… 「僕は、覚悟の上で発情期になったんです。覚悟の上で、なかに出すことを止めなかったんです。」 テオバルト様は目を見張り、それでも、また泣きそうな顔をして僕を強く抱きしめる。 「……。おれは、葉月に生きてほしい。俺と一緒にずっといてほしい。 獣人は長寿だ。だから、俺が残されてしまうのは覚悟ができている。だが、早めることがわかっていたら俺はお前を発情しないまま隣でいることを選択した。 一緒に葉月といたいんだ。」 こんなにも、僕のことを愛してくれる。 僕は幸せ者だ。 「じつは、不安なのは僕もおんなじなんだ。いつ死ぬかって考えると怖い。 だから、僕にキスをしてよ。子がいても、生まれても、僕と約束して。必ず僕とキスをして。それで僕は長生きできる気がするんだ。」 病は気からって言うように、幸せを毎日感じてたら僕は長生きしそうな気がするもん。 ニコニコと想像しながら笑っているとお腹がポコンと動いた。 「あ!動いた。」 その声にテオバルト様の手も僕のお腹に回り胎動を感じる。 「ほんとだ。」 テオバルト様が微笑むくらいに笑い (あぁ、こんな日が続けばいい。 僕は、幸せに死ねるから) っとテオバルト様を見つめながらそう思った。

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