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第20話 好きだから2

毎日、キスをする。 その約束は守られている。 あれから、幾日か経ち。起きて、寝て、ご飯を食べる。そしてキスをする。キスが日常になってきた頃、お腹の子が臨月を迎えた。 獣人の子は10月10日では生まれない。一年と半年かけてじわじわと大きくなってから生まれるのだ。 胎児は結構な大きさになるため時間がかかる。 獅子で生まれればα。 小柄の小さな人間の子で生まれればΩと決まっていて、この子はαに違いない。そういわれた。 子が大きくなるにつれて夢を見る。 自分の死とそれに嘆く彼。 飛び起きるように目が覚めて、テオバルト様を起こしてしまい 「どうした。」 その一言で僕の涙腺が壊れる。 すがり付くように泣きわめき、気を抜いたら死にたくないそういってしまいそうで…… あんなことをいった手前、死にたくない。なんて口にするのは嫌で…… ただ、どうしようもない感情をテオバルト様の胸で疲れて眠るまで涙で流す。 お互いに睡眠の取れていない様子をセサルさんが見かねて医師を呼び互いに診察してもらい、妊娠による情緒不安定な時期であるそう言われて少し安心した。 そんな時期だから、死にたくないなんて思うんだ。そう思い込むだけでも少し気が楽になった。 安心したのもつかの間で陣痛が始まり、僕は生死をさ迷いながらαの子が二人生まれた。 名前をエイリムとサイリムと名付けた。 出産していろんな獣人たちがお祝いをしてくれた。 テオバルト様は今回の出産で僕が無事に生き抜いたことを泣いて喜び僕も心のそこから泣いた。 エイリムとサイリムは仔ライオンであり数日たって走るようになった。 人間の姿になるとやはり人間の成長過程であった。 出産は葉月様にとって相当なリスクである。そういわれていたが1年たっても、2年たっても短命であることの自覚がない。そういった症状は全くでない。 もしかして、寝るように僕は死んでいくのだろうか。 ふと、そんな考えが浮かぶ。 両方が、死に対する恐怖からまた子を作ることは阻まれた。 子を作ることで彼を幸せにしたかったがあまりの恐怖に また子を……と言うことができない。 思い悩んでいるうちに出産して以降発情期が来なくなっていることに気づいた。急ぎ検査しても原因はわからなかった。 そんなある日。いつものようにキスをしてるときのことだ。 なんだか、今日はテオバルト様の匂いを強く感じて不思議に思い彼により近づいた。 「なんか、今日匂いが強い気がします。」 クンクンと獣人のテオバルト様には劣るが鼻を動かしてできるだけより確かな匂いを胸にいれたかった。 テオバルト様は戸惑いながら近づく僕から少し離れた。 「あんまり、近づくな。」 「え?」 驚いて、体を離す。 「お前を、抱いて以来ずっと我慢してるんだ。」 僕を抱いて以来って2年半年ずっと? 僕は、彼はαだから僕のいないところでやることはやっているそう考えていた。 だから余計驚いてしまい、嘘……っという声が漏れた。 「嘘ではない。葉月と俺は魂の番なのだから、他なんて抱けない。お前もだろう?」 もちろん、僕はテオバルト様に以外のものに抱かれかれるなんて考えられないし、想像もしたくない。 でも、テオバルト様はαだから…… ……ほんとに? 僕のために我慢をしてくれたの? 「葉月しか抱くつもりもない。」 禁欲しているから匂いが強くなっている。そういうこと? この匂いは僕の所為? もっと匂いを嗅ぎたくて離れてしまったテオバルト様を引っ張りソファに倒して、僕が馬乗りになることで逃げられないようにした。 そして、彼の首筋に顔を寄せ胸いっぱいに吸い込む。 何度も繰り返して、これが僕の所為なのかとにやける顔をこらえながらチュッとキスを落とす。 いつからか、噛まれたうなじが熱くなってきて火照ってきた体をテオバルト様にもたれ掛からせた。 (あ……あれ?これ、、発情期?) 二年と半年前に経験した発情期にすごくにていた。

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