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第21話 好きだから3
「ん……テオバルト様ぁ」
抱かれたい。……でもそれをしたら僕はもしかしたら。
薄く残る理性で今後を思う。
死が近づくかもしれない。そう思うだけでもほてった体は冷や汗を掻くのに芯の方は燃えるようにあつい。
「はぁ。はぁ。俺は……抱かない。すまない。頼む。離れてくれ」
テオバルト様もヒートになりかけている。離れてくれ、と何度もいい僕から距離をとる。それでも、互いに引き合ってしまいほんとに数センチしか離れられていない。
テオバルト様も恐れている。僕が死ぬかも知れないことを。
それでも、僕は本能に逆らえなくて熱い息をしながら助けてと手を伸ばす。
「……あっ……おね……お願い。たす…………けてぇ」
辛いの。焼けるようで、うずく。何か、マグマのようなどろどろしたのが爆発しそうで怖い。
「……無理だ。」
テオバルト様が熱い息を吐き熱をにがす
抱かれたい。おかされたい。どうにかしてほしい。
「ご、ゴムを……」
それだったら僕は妊娠しないだから……だいてよ
「ダメだ。ヒートに入ってしまえば俺は本能ままに動いてしまう。自制が聞かなくなる。」
そういってまた逃げる。近づいて、逃げて結局は僕たちの距離は変わらない。
目が混ざりあったまま離せない。
死に対する恐怖が段々薄れてきてただ抱いてほしい考えが大きくなってきた。
「俺は、おまえと長く一緒にいたい。死なせたくない!」
テオバルト様らしくない悲痛の叫び。
本能に抗い、彼は僕から距離をとる今度は数メートル。抗いジリジリと扉の方に進んでいく。
「待って!」
そう言うと同時に扉の外に出て行ってしまった。
出ていった扉を見てなんだか涙が出てきてた。
一人残された部屋に虚しく蒸せかえるフェロモンと、泣き啜る音が残った。
しばらく経って忘れていた疼きが出てきた。
薬…と思い引き出しにしまわれていた抑制剤を手にした。
(指先が震える。)
なんだか、欲情している自分の体が他人事のように思えて滑稽だった。
薬は効きにくいだろうと何種類か強めの薬を渡されていた。発情期もこなかったため使うことはもしかしたらないのかもと思っていたが今日になるとは。
強めのなかでも弱い方の薬を手に取り太ももに指した。
(あ、痛い。)
あの時は痛みは快感だったのに。
疼くからだが余すようにどこかで快感を探す。
(疼く。疼く。テオバルト様ので犯して…………っ。)
想像だけで軽くイッてしまう。それでも、足りないと体が言う。
(抱いてほしいのに……)
あ……もしかしてテオバルト様はもしかして死より欲情をとった僕を軽蔑した?
こんな風に、欲情して、触って欲しくて、挿れてほしくて……
こんなんじゃ、テオバルト様が戻ってこない?
治めなきゃ。
はやくはやく。
そう思うと、そうとしか思えなくなって急いで僕自身を出し、上下に無闇に擦る。
「い……っ……いたっ」
わからない!わからない。
どうすれば?いいの?
(後ろ!後ろも触らなきゃ)
後ろの穴に指を力一杯突っ込んでもただ痛い。どうして気持ちよかったんだろう?
愛液でぬるぬるしてる分下手に突っ込んで痛い。
でも、やり方なんてわからないから必死で自分がイクことができていたことを思い出しながら指を動かす。
どんだけやってもイケなくてしまいにはさっきまで治まっていた涙がまた出てきてそんな不甲斐ない自分が嫌で余計に出てきた。
「なんでぇ……イケないの」
呟いた声がやけに大きく響いた。
カラン
と先打った空の注射器に足が当たって思い出したかのように引き出しを漁った。
残りの3本を手に取り順番に打っていった。
そのときはただ、テオバルト様に会うにはこの疼きを治めなくてはと焦っていた。離れてしまった相手がどうしようもなく恋しかった。
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