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第6話

「先輩!これ作ってきたので一緒に食べましょう!」 「…あぁ。」 「やった!じゃあ中庭行きましょう!」 海の日から数日、先輩に変化が現れた。 「はい!たくさん作ってきたので遠慮しないで食べてくださいね!!」 「……ん。」 なんと、短いけど返事が返ってくるようになったのだ!! **** 『好きなんですよ、大河先輩。だから、俺を好きになって…...。』 『…俺はホモじゃねぇ。』 『知ってます。けど、俺は諦めたくない。』 先輩の瞳に俺が映る。その目をしっかりと見つめて、俺の気持ちを伝えた。 『……あっそ。…つか離せ。』 そう言って俺の手を振り払い、そっぽを向いた先輩の顔は…夕日の所為か少し赤くなってた。 「先輩、お茶どーぞ!」 「…ん。」 「わー、あんなにあったのに全部食べちゃうなんて…!クッキー好きなんですね!」 「…るせぇ。」 先輩はタッパーいっぱいにあったクッキーをペロリと食べてしまった。何が好きとかよくわからないから、甘さを控えたクッキーを作ってみて正解だったようだ。 「大河先輩。」 「…んだよ。」 「好きです。」 「……あっそ。」 「ふへへっ!」 先輩と一緒にいるだけで幸せだった俺は、完全に浮かれてた。 「おい、そこー!予鈴鳴ったぞー!早く教室戻れー!」 「あ、はーい!先輩、戻りましょうか。また帰りに行きますね!」 「…あぁ。」 じゃなきゃ、あんな油断は絶対しなかった。

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