8 / 13
第7話
それから、眠たい午後の授業が終わり、帰り支度を済ます。
「さて、先輩の所に行きますか!」
教室を出て、先輩の教室へ向かうため階段を上ろうとした時。
「浅見純くんって君だよね?」
「え?」
頭上から声が聞こえて顔を上げると、そこには見知らぬ男子生徒がいた。
小首を傾げ、彼を見る。
「俺、大河と同じクラスなんだけど…、さっき伝言頼まれたから、君の教室へ行こうとしてたんだ。」
「え、先輩から?」
「うん、迎えは資料室に来てって。さっき先生に雑用頼まれてたからさ。」
そう言って、彼は困ったように小さく笑う。
「まぁでも、すぐ終わると思うから、早く行ってあげて。」
「あ、そうなんですか!わざわざありがとうございます!では!」
早く先輩に会いたかった俺は、お礼を言って逆方向にある資料室へと向かった。
…俺の背中を見て、そいつが怪しく笑ったのも知らずに。
「せんぱーい!来ましたよー!……あれ?」
ガラッと勢いよく資料室の扉を開けると、そこには誰もいなかった。
「…先輩?」
そもそも電気もついてなくて、人の気配すらない。
…おかしいな、入れ違ったのか?
「せんぱ…」
「大河はここにいないよ。」
「えっ.....ぅ゛ッ!?」
後ろから声が聞こえたと思った瞬間、ガンッ!という音と共に後頭部に鈍い痛みが走る。
その一撃で俺は、ドサリとその場に倒れた。
「お前はエサだ。凶暴なトラの、な?」
ともだちにシェアしよう!