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第10話
「…ん、……んんっ?」
目を覚ますと、見た事がある天井が視界に入った。
「…あれ…、ここ、先輩の……。」
身体を起こし周りを見渡すと、そこは先輩の部屋で、なんか前にもこんなことあったなぁ…なんて考えてたら、扉が開いた。
「気が付いたか。」
「あ、先輩。」
「…具合は。」
俺の側まで来て、ベッド脇に腰を下ろす先輩。顔には少し擦り傷があった。
「先輩、顔の傷、手当しました?」
「………。」
「ほらここ…、痛そう…。」
スッと手を伸ばして、少し血が滲んでいる先輩の頬に触れる。
「ちゃんと消毒…っ、せ、先輩…?」
突然、触れてる俺の手をギュッと握られ、ビックリして声が少し裏返ってしまった。
「なんで…。」
「え?」
「なんでお前は……。」
握る手に少し力を入れ、俯く先輩。
「俺の傷なんて大したもんじゃないだろ…。お前の方が重症なのに…っ、」
「先輩が無事でよかった。」
「はっ?」
「だって、俺のせいで先輩が傷つくなんて嫌だったもん。絶対迷惑かけたくなかった…。だから俺が手を出されれば、先輩が我慢する理由ないって思ったんだ。…木村が挑発に乗ってくれてよかった。」
そう言って微笑んだ。
…だって、先輩があまりに泣きそうな声を出すから…。原因はなんであれ、あの状況で先輩を守れた事と、俺のために先輩が来てくれた事が、堪らなく嬉しかったんだよ。
「…っとに、お前は…!」
「わっ!」
ふわっと前から抱きしめられ、予想外の出来事に思わずフリーズする。
「…無茶はするなって、言ったろ。」
「せ、せんぱ…」
「…迷惑かけてもいいから、心配はかけさせんな。二度と無茶はしないって誓え。」
「………。」
「おい、聞いて……って、」
「…っ、しぇ、んぱぁ…っ」
「………。」
今頃になって涙が溢れた。
怖かったし、痛かった。
あんな経験はもうしたくないって思う。
でもね、
「すき…っ、先輩は、俺が守る…っ!」
先輩のためだったら、きっと、何度でも。
「…お前は、俺に守られてりゃいいんだよ。」
「……っ!」
俺はどんな無茶だって、しちゃうよ。
「…なんだよ。」
「先輩…、俺のこと好き?」
「…好きって言ったら?」
「俺は大好き!!」
「…あっそ。」
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