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アドルフが、いくら探しても見つからないヒヨリに苛立ちながら自室に戻ると、そこには大きなソファにちょこんと座るヒヨリがいた。 「…お前、どこにも居ないと思ったらここに居やがったのか。勝手に部屋に入り込みやがって」 「ずっとじゃないよ。さっきまで湯船に浸かってた」 「湯船?」 訝しげな顔をすれば、ヒヨリはまるで褒めてと言わんばかりに身を乗り出した。 「体をぴかぴかにしてきた!爪の間から髪の先まで念入りにだよ!だからアドルフさん、しましょう!」 「するって…お前」 「だってその為のオメガでしょう?」 それはそうだが…。 アドルフは、嬉々として抱かれたがっているこのオメガに若干の不気味さを感じていた。 普通は、体格差のある獣人との愛のないセックスなんて怖がるもんだ。なのにコイツは震えるどころか笑んでいる。 世間知らずなのか、今までの劣悪な環境のせいで頭が可笑しくなってしまったのか。それを判断する術はないし、そもそも大して興味もないから考えるのはやめておいた。 自ら食われたいと言うのなら、捕食者の俺は食うだけだ。 「分かった。ならさっさと服を脱げ」 「せっかくナギさんが新しい服出してくれたのに」 「甘い雰囲気醸し出して丁寧に脱がせろとでも?」 「…うーん、それはなんか似合わないね」 納得したのか、いそいそと不器用に脱ぎ始めるヒヨリ。 やがて、布の下から皮と骨ばかりの体が現れた。とても旨そうには見えない。所々に擦り傷やら青アザやらがあって、どんな扱いを受けてきたのかは明らかだった。 「それじゃあ、よろしくお願いします」 「何だそれ」 思いやりなんてひとつも感じられないような手つきで裸のヒヨリを適当にベッドに転がすと、その上に覆いかぶさった。

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