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ヒヨリの体は確かに良かった。しなる背中、柔らかい尻、少し高めの嬌声。 痩せて浮き出た骨が当たるのだけが不満だが、目的を果たす分には問題ない。 もう數十分経つだろうか。遠慮なくがつがつと貪ってやれば、ついに俺の下でヒヨリが弱音を吐いた。 「ふっ、う、痛いっ…」 その目には涙が滲んでいる。へらへらしていて悪戯ばかりするヒヨリの苦痛の表情は中々唆られるものがあった。 獣人との行為が辛いのは当たり前だ。そもそも体の造りが違うし、相手を想いやる気持ちもない。 これで少しは懲りたかと密かにほくそ笑んだ。 「何をされても泣かないんじゃなかったのか」 「うっ、ん、何…?何て言ったの?」 どうやら言葉を理解する余裕までないらしい。 「そろそろ締めろ。これじゃあ達せない」 「え、え?」 尻を叩いて促してみるが余計に涙が溢れただけだった。 これでは生殺しもいいところだ。仕方なしに、ヒヨリの力のない小ぶりな性器をやわやわと握ってやる。途端、体がびくりと波打った。 「あ、うんっ、アドルフ!もっと!」 やっとこれで、と思ったのも束の間。やがてふわりと僅かな匂いがした。 (これは…) 思わず顔をしかめる。 気持ち良さに誘発されてオメガ特有のフェロモンが発せられたのか、明らかにヒヨリから漂ってくる。 それ自体はよくあることで不思議なことではない。しかし、問題は『匂い』にあった。 檸檬の甘い香り。 かつて愛した、オメガの香りだ。 ぐにゃぐにゃと目の前のヒヨリが姿形を変えていく。 これは幻覚?それとも、己の願望が見せている虚像だろうか。 「マホギ!」 愛おしい男の姿に、優しく手を触れた。 「何故今更…!お前が欲しかった!ただお前だけが!」 目の前のマホギは、ゆるりと笑った。 「俺もだ。だから頸を…。今度こそ、アドルフのものに」 その言葉は果たして愛故か、憎さ故か。 どちらにしろ拒む理由は何もない。 ゆっくりと、味わうようにマホギの頸に歯を食い込ませた。

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