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4 幸せ※(微)

 久しぶりに健二と過ごした後。保健室にはなぜか宮村が来ていた。あからさまに嫌な顔をしたが、彼は関係ないといった感じでずかずか入ってきた。 「そんなに嫌な顔しないでくださいよ。怪我したんで来ただけです」 「……怪我? 」 「外歩いていたら、ノラネコに引っ掛かれたんですよ。ほら、ここ」 「あー……村西が手懐けてる猫か。警戒心強いんだよな」 「そうなんですね。いない間に猫が住み着いたんたんですか……」 「ああ、有働先生がいなくなった穴を埋めている村西っていう教師が猫好きみたいでな、ノラネコをあっという間に手懐けやがった。以来、プール裏はあまり通るなと言われてる。──ほら、これで終わり」 「ありがとうございます」  宮村は笑顔でお礼を言うと、去っていった。  しかし宮村はなぜプール裏にいたのだろうか。あそこは夏ならともかく、学校内でも一番人気のない場所だ。だからこそ、村西はそこでノラネコ数匹を飼っている。  ──可能性としては、宮村が抜け出そうとして利用したぐらいしか考えられない。あそこはもうずっとフェンスが修理されてない為、第三の出入口として色んな人が利用している。  いやまさか……な。  *  放課後。久しぶりに健二と一緒に帰る。途中でスーパーに立ち寄って買い物をしてからマンションに向かう。健二はかなりご機嫌だ。  健二が食事を作り、久しぶりに2人で食卓を囲む。ここ数日作り置きだったから寂しかった。 「やっと準備も粗方終わったので、存分にヤれますね」 「でも本番は来月だろ」 「体育祭はあくまでも体育委員会が主体なんです。生徒会はサポートです」 「ふうん、そうか」 「それに今日は金曜日です」 「……あ」  食事が終わり、健二との会話を楽しんでいると週末であることを思い出させられる。つまり──。 「俺が満足するまでヤりますよ」  ──健二は容赦しない。  それから2人で風呂にはいる。以前、風呂でヤったことがあったが、のぼせてしまった為それ以来健二は軽くさわる程度で我慢してくれている。今日もなるべく離れて入っている。  風呂からあがるなり、服を着ずに健二は我慢できないと言わんばかりにキスをして来た。俺の腰がくだけたところでお姫様抱っこをし、ベッドまで運ぶ。 「今日は我慢しませんから」  にこりと笑う健二に寒気がした。  *  結局昨夜は俺が意識を手放すまでとことん抱かれた。俺が意識を手放しても健二は満足しなかったのか、かなり長いこと抱いていたらしい。おかげで腰が痛い。  起き上がって状況を確認する。後処理はきちんとしてくれたみたいだ。服も着せてくれている。 「……ん、ライン? 」  ふとベッドボードにあるスマホが目につく。誰かからラインが来たのか、通知が来ていた。  スマホを手に取り確認すると、漣からだった。珍しい。健二と付き合い出してからはプライベートで連絡することなんてなかったのに。 『今年の体育祭は行けない。代わりに菅原っていう医者を向かわせるから』 『あと、しばらくはそっちに行けないかも』  やっぱり、と納得して『了解』と返事を送る。漣は、2月末にかなり難しい手術を大学病院でもない園田病院で成功させ、それ以来多忙を極めている。しかも月島という女医と付き合い始めており、幸せの絶頂にいる。  多分体育祭の日にはデートか手術でもあるのだろう。どちらも優先すべき事だ。──ただ、しばらく来れないというのは不安だ。あの男を避けたいのに、これでは避けられない。  いくら監視カメラがあっても、トイレなんかに連れ込まれたらおしまいだ。あいつも黒瀬家の人間だから監視カメラの位置ぐらい把握しているだろうし……ますます保健室から出られない。  はあー、とため息をつく。スマホを再びベッドボードに置いてから立ち上がろうとして──腰の痛みに倒れた。 「翔馬さん、今日は寝ていた方がいいんじゃないでしょうか」 「健二」  美味しそうなにおいのする食事を健二は持ってきてくれたようだ。俺は健二に甘えることにした。

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