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悪夢

人間の国は、αが国を作りβが働き世界は回っている。Ωの地位はかなり低い、Ωというだけで迫害の的になる。 オレは厳格なαの両親に育てられて、それなりに教育も受けていた。家族全員α。 だからオレもαになるんだと疑わなかったが…運命は残酷だった。 十代になり、身体が大人へと変化していく第二次性徴期、オレの身体はαではなくΩへと変化していった。 αは屈強な身体に成長するのに対して、身長は伸びず、骨格も丸く、声変わりも来ない、白い肌やボサボサだった赤毛髪はツヤが増し、何より生殖能力が無い為、睾丸が発達しないのがΩ雄の性的な特徴だ。 信じたくなかった、Ωになるということがどういうことか、残りの人生終わったようなものだから。それをひた隠して過ごしていた。 しかし、十七歳の春、ついに発情期を迎えてしまった。 自分は無意識に周りのαやβを引き寄せ狂わせてしまう甘いフェロモンを撒き散らす有害な生物に…成り果ててしまった。 もしもの為に発情フェロモンを短時間抑える薬を秘密裏に入手していて、すぐに内服したが、両親にはすぐにバレた。 十七年間築き上げてきた親子の絆も、こんなにあっさりと切れてしまうものなのかと思うほど、二日と経たない間に、オレは売られていた。 父親の最後の言葉は… 『俺にΩの子はいない』 母親は謝りながら泣いていた。 オレは親不孝者だ。 けど、 なんでオレがΩに?兄も従兄弟もみんなαなのに… 覚めることのない悪夢は続いていく。

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