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ラウ

こうして、獣人族の(おさ)ラウに匿われ、(むれ)で生活することになった。 食事は朝晩二食、ラウとオレとシィの三人で一緒に食べる。 寝床となる小屋は木の上にあり、長い木や枝を複雑に何本もかけて土台をつくり、その上に木製の小屋が建っている。 それなりの技術力はあるみたいだ。 ラウの小屋は内部が木で仕切られていて、三部屋ほどに分かれている。一番手前の部屋をオレとシィに貸してくれた。 意外と早く日が暮れて、寝る以外にやることがなくなる。 シィが眠ったあと、小屋の外へ出てみる。 流石、(おさ)の住処だけあって豪華な小屋の作りになっている。 木を組んで作った土台が小屋の外にも続いていて、藁が敷いてあり腰を下ろして五、六人がくつろげるようになっていた。 夜の森は恐ろしいくらいの暗闇に包まれる。時おり小動物か何かの鳴き声や眼が光って見えることがある。 それを見下ろしながら、逃げ出した時のことを思い出していた。 あそこにいたΩ達はどうなっただろう、αに襲撃されて…みんな死んだのかな… 逃げ出した後、ボロ小屋で襲ってきたαはどうなったんだろう。死んでは無いはずだけど、自力で帰れただろうか… あの時はシィを助けるために無我夢中だった。 「アサト」 「あ、ラウ」 「眠れないのか?」 「まあな、時間がたくさんあると考えなくてもいいことを考え続けてしまうな…」 還れぬ森に入った瞬間に、向こうの世界のことは忘れようと誓ったはずなのに… 「そうだな」 声をかけてきたのは(むれ)(おさ)ラウ。ランタンの優しい明かりを脇に置き、少し離れた場所に腰を下ろす。 「ラウは、いつからこの(むれ)(おさ)に?」 「一年程前だ、病に伏せていた先代の(おさ)、俺の父親が亡くなる直前に正式に受け継いだ」 「そっか、まだ一年か」 「それまでは皆、普通に接してくれていたんだ、だが(おさ)を継いだ時から、俺は独りになった」 「え?」 「みんな俺のことをよそよそしく遠巻きにし、気軽に話ができなくなった」 「そうなのか」 「だからお前が俺に臆せず話しかけてくれるのは、昔を思い出すようで嬉しい気持ちになる」 「そっか、オレで良ければ話し相手ぐらいにはなるよ、どうせ寝れないし」 「あぁ、ありがとう。アサト…下ばかり見ず上を見てみろ」 「上?…わぁ、凄い!」 言われて顔を上げる。 そこには暗闇だからこそ映える満天の星空が木々の間に広がっていた。 「この星たちを見れば、今悩んでいることも小さなことかも知れないと思える時もある」 「そうだな、うん、ラウは星空もよく似合う」 青銀に輝く毛並みをなびかせ、綺麗に光る瞳もよく映える。 「そうか、ありがとう」 そう大きな口の口角がやんわりと上がり、笑っているのだと伝わってきて暖かい気持ちになる。

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