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星空の下

こうして、夜が更けるまで毎日ラウとは小屋の外で空を見上げながら話をするようになった。 自分の生い立ちや森での生活のこと、人狼と人間の生活習慣の違いなどなんでも話し合った。 ラウの年は20歳で人間と同じくらいの寿命だという。 まだパートナーを持ったことはないようだけど、(むれ)で一番強い(おさ)だから候補は何人かいるらしい。発情期になれば言い寄ってくるΩが沢山いて困っているとも言っていた。 まあ、(おさ)の妻の座は魅力的だろうから当然か。 獣人族も一夫一妻制でツガイになったパートナーとは、どちらかが死なない限り一生添い遂げるらしい。 聞けば聞くほど、ラウは優しい性格で、仲間想いのいい奴だ。 一ヶ月も経つ頃には、ラウとオレとの距離感も縮まっていった。 とても美しい毛並みのラウ、やはりその毛並みは触りたくなるもので、時々、その大きく長い尻尾に触らせてもらったり、ピンと立ち上がった大きな耳も触って感触を確かめた。さらさらふさふさと柔らかくてとても触り心地が良かった。 そのうち、話をする時はすぐ隣に座り、虫にやられないようにと、ふさふさの尻尾でくるりと身体を包み込んでくれるようになった。 なんとも心地いい。 ラウと同じ時を共有していくうち、お互いに惹かれ合っていくのを意識しはじめていた。 シィはオレ以外にはなかなか懐かなかったが、最近は少しずつ言葉も覚え、単語でコミニュケーションが取れるようになっていった。 同じ場所で食事し、同じ小屋へ帰るラウには少しずつ心を開いているようにも見えた。 食事を分けてもらい充分な休養が取れたことで、弱っていた体力も回復した。 オレはもともとαになる筈だったから武芸も嗜んでいた。その能力を生かして、食料を取りに行くラウや仲間についていき、森での狩を手伝った。 シィは言葉が話せず、周りに溶け込めずにいたため、日中は小屋で留守番をさせていたが… ある日、狩から戻ると… 「シィ!?どうしたんだッ!」 部屋でうずくまるシィの背中の毛はむしり取られていて所々出血している。 近づくとぎゅっと抱きついてくるシィ。 「なんでこうなったんだ、誰かにやられたのか?」 「……」 抱きついたまま答えないシィ。 不意に後ろから刺すような声。 「その半獣人が自分でやったんだよ」 「っ!」 振り返るとそこには真っ白で美しい狼獣人レイが立っていた。 シィは声を聞くとビクッと身体を震わせ、さらに抱きついて怯えたように小さく鳴いた。 「レイ…」 レイはラウの弟…。 「もう回復したんだから、早く出て行った方が身の為だと思うけど?」 「お前がやったのか?」 つい疑ってしまう。 「うるさい、こいつが自分でやったって言ってるだろ、ほおっておくから寂しくてやったんじゃないのか?」 「……」 シィを抱き寄せ、静かに睨むと… 「フン、兄様の側にいつまでもいるからだ、汚らわしい人間が…」 ボソっと呟き、レイの瞳により一層憎しみの光が宿ったように見えた。 「レイ?」 「アサトいるか?」 不意に下からラウの声がした。 「っ、兄様、ご用なら僕に!」 すると、レイはパッと表情を変え、木から降りて行く。 「レイ、そこで何をしている、勝手に立ち入るな」 「すみません、掃除に入らせていただいていました」 その後も下でラウとレイは話を続けている。

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