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あいしてる
「あぁ、だが群 の長 が必ずαとパートナーにならなければならないことはないんだ、決定権は俺にある。けれど、群 の皆に信頼されていなければ、群 が分裂する恐れもある」
「…だよな、パートナー候補もお前は沢山いるんだろうから、人間のオレがその人たちを押し退けてお前とツガイになることは出来ないよな…」
一番の壁は獣人と人間という種族の違い。
次の壁はαとΩという性の違い。
妬みの対象がオレだけならまだしもシィが狙われたら…それが心配。
「アサト…」
「……もう少し、時を待とう。お前の群 もオレは守りたいから、隠れながらでも、今はこうしていられることが大事だろ?」
「あぁ、俺も出来る限り二人を守るから」
「うん、ありがとうラウ」
「アサト…」
「…お前はオレとツガイになりたいって言ってくれるけど、人間をツガイにすること、後悔しないのか?」
「後悔?何故?」
「一生のパートナーをそんなに簡単に決めて大丈夫かなって思う」
「簡単じゃない…会えない間、毎日考えた。アサトと繋がれた今はより強くツガイになりたいと思っている…俺は、アサトを愛しているから」
「……うん、ありがとう」
改めて囁かれると、くすぐったいような胸の中がきゅっとするような不思議な感覚になり、『あいしてる』って返したいのに、言えなくなってやや俯いて照れ隠しをしてしまう。
「アサト…」
するとラウは、紅くなった頬を舐め、ぺろぺろと首や耳、そして口元を舐めてくる。
「ふふ、くすぐったいって」
「アサトは柔らかくて綺麗で可愛い」
「…ありがと、ラウは可愛いカッコいい」
「可愛い?」
「耳が垂れた時の顔とか、結構かわいいよ」
「そうだろうか」
「ふふっ、そう!」
不納得ぎみに首をかしげるラウの片耳が早速下がっていて、ちょっと可笑しくてその耳に触れながらクスクスと笑ってしまう。
そうして少しの間、じゃれあいながら同じ時を過ごす。
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