半獣人…… マニアと獣人には高く売れるらしい。 存在自体が希少で地位も高い獣人。 世に多く溢れてる人間。 人間と獣人の子供は半獣人になる。半獣人は遺伝子の血が弱く、獣人の子を孕むとほぼ100%の確率で獣人が産まれる。 しかも、自分はΩ。 言わずと知れた第二の性。 絶対王者のα(アルファ)。 普通のβ(ベータ)。 子を産ませる為のΩ(オメガ)。 第二の性でどんな一生を送るか、ほぼ決まってる。 目に見えないカースト。頂点に君臨するのは、世の中に僅かしかいないα。容姿端麗。IQが高く運動能力にも優れ、リーダー気質。輝かしい人生が保証されてる。 βは良くも悪くも普通。一番、人口が多く平凡な人生を送る。 極端に数の少ないΩ。体が弱く細いし小さい。子供を妊娠することに特化した性。男でもΩは妊娠が可能。 定期的に発情期がきてフェロモンを撒き散らしβやαを誘惑、翻弄する。 差別は良くないと騒がれる世間とは裏腹に『Ωだから。』『所詮、Ω。』『Ωなんて。』 そういう目で見る人も少なくない。 大体のΩは抑制剤を飲み、フェロモンをコントロールするけど発情期のせいでろくに通学、通勤出来ない者も多く、周りから疎まれてる。 俺は半獣人でΩ。底辺中の底辺。 ウサギのΩの半獣人はαのフェロモンですぐ発情するお手軽物件。普通、発情期以外繁殖をしない生き物の中において人間とウサギは節操なしだと言われてる。 このご時世に普通に人身売買の斡旋。チラリと見ると借金の八割が返せる金額。 思わず二度見。ウサギの半獣人が人気なのは知ってたけど…… 本当にこんなに貰えるのか……？ ゴクリと息を飲んだ。 『まずはお電話か、来店を！ ※必ず707のチラシを見た、とお伝えください。』と書いてある。 店の住所はここから近い。 　 毎日、借金取りに怯え、風俗に身を落としても返せる保証なんて無い。　 もう、この頃には俺は疲れきっていたんだと思う。冷静に判断出来ず、チラシを見つめる。 世の中どうなってるんだ。借金の肩代わりに自分を売るなんて馬鹿げてる。今まで安い給料でも文句1つ言わず、真面目に働いてきたのに…… 話を聞くだけ…… フラフラとその店を目指した。