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…………驚いた。
獣人があえて半獣人の姿になるなんて。
俺が緊張してたから…………?
艷やかな黒髪。
長いまつ毛。
高い鼻筋。
切れ長の瞳。
端正な顔立ち。
黒い立派な耳と尻尾。
優雅な立ち振舞。
恐ろしい程の美形……
半獣人の狼の姿なのに王子っぽい……
「じゃ。とりあえず、一人でやってみろ。」
え?一人……?
そんなの見てどうするの?へ……変態?
「…………え、と……!?でき、出来な……出来ないです!!そ、そ……そんな……人前で……するとか!それに!シャワー浴びないのとか無理です!」
顔から火が出そう……!
「何照れてんだ。女かよ。仕方ねぇな。
よし。分かった。一緒に入るか。」
い……一緒!?
「お!俺、一人で……
ちょ、離してくださ!離してーー!」
無理矢理、風呂まで引っ張りこまれた。
「お前、ガリガリだし、貧相な体だな。」
「…………知ってます。光牙さん。あの。」
「だから、敬語やめろって。他人行儀なの、嫌いだし。さん付けも禁止。『こうが〜』とか甘ったるい声で言ってみろ。」
無茶振りを……
「……こ……光牙?」
甘えたり出来ないし、とりあえず、ジッと見つめてみる。
「まぁ。悪くないね。
お前、ウサギのくせになんで初めてなの?」
デリカシーの欠片もない。
「……え……と。ずっと施設育で仕事も……っ……!!」
尻尾を撫でられて、体がビクッと震えた。
「ふーん。ウサギの尻尾って敏感なんだ。
お前、加虐心をそそるな。
俺、処女とヤんの、初めて。ウサギと寝た事あるけど、大体、快楽に弱いから、やらしい子が多いだろ?普段、オドオドしてるくせに挿れた途端にぶっ飛んで豹変する。」
俺に何を求めてるんだろう……
処女って……
女じゃないし!
「俺はやらしくないです。」
「俺色に染めるも悪くないか。
じゃ。よーく慣らさないとなぁ?
ね、顔見せて。ヤバ。涙目、可愛い。
怯えてるのか……すげぇ萌える……」
意地悪そうに光牙が笑った。
狼って硬派な奴が多いって聞くけど……
この人……!!
その時、不意に頬に手が置かれ、光牙の顔が近づいた。
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