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それから数日経った。 仕事の後、一緒に食事して必ず同じベッドで眠る。緊張してると余計に痛いから、慣れが必要だと家でも外でも隣りに座って抱きしめられたり肩を抱かれる。 …………少しずつ一緒にいる時間に慣れてきた。 今日はこの家に来てから初めての休日。光牙に植物園に行こうと誘われた。 これってデート?ソワソワしながら、クローゼットの扉を開ける。コソコソと中に隠れた。 最近、クローゼットの中がお気に入り。部屋が広くて落ち着かないから、考え事する時とか、ここに来る。 「ユイト?行くぞ。」 「うん。」 ガチャ。クローゼットから出る。 「…………プッ。またクローゼットかよ。 よっぽど気に入ったんだな。」 笑ってる光牙に付いて行った。 大きな植物園…… 沢山の種類の草花や木。 昨日、テレビで紹介してた植物園に釘付けになってたら、光牙が調べてくれた。 自然が好き。なんとなく植物に囲まれてると落ち着くんだ。連れて来てくれたの、俺の為……なのかなぁ…… ザワザワ…… 入口の所に人が集まってる。 甘い匂いに釣られて見てみると出店がありワタアメを売っていた。 「ユイト?」 付いてこない俺に気が付いて、光牙が声をかけてくる。 「あ、ごめんなさ……」 慌てて謝って走って光牙の元にいく。 「なんだ。ワタアメ見てたのか。 冗談じゃなくて本当に好きなのか?」 コク…… とりあえず頷く。 「ふーん。」 光牙は俺を連れて列の後ろに並んだ。 「……あ、あの……」 「初めてのプレゼントが……ワタアメとか色気ねぇけどな。」 買ってくれるの……? 甘い甘い匂い。機械の中で割り箸をお店の人が何度も回す。あっという間にフワフワのワタアメが完成した。 ずっと自由になるお金なんてなかったから、食べたのは遠い昔。 「ホラ。」 手渡されたワタアメ。 「食べていいの?光牙……は……?」 「一口貰う。」 そう言って、光牙はパクっとワタアメを食べた。 「甘っ!俺、甘いの好きだけど、これは甘過ぎ。流石、砂糖の塊。ユイトも食べてみろよ。」 口にすると甘くて懐かしい味。 「本当だ。甘い……」 その時、光牙は驚いた顔をした。 「どう……したの……?」 「…………いや。お前、初めて笑ったな。」 「え?」 「美味しかったのか。ニコニコしちゃって…… 甘いの、好きなら今度から食後にデザートを用意するよう、メイドに頼んどこう。」 …………俺、今、笑ってた? つい気が緩んで…… 光牙は優しいから、時々、忘れそうになる。 自分が買われたΩだって。 「…………あの。光牙。」 「ん?」 「ずっとお礼を言いそびれてて。初めての朝食の日、焼き鳥とタコ焼き、ありがとう。」 「…………おぅ。」 あと、服と美味しい食事もありがとう。 怖くて最後まで出来なかった時、やめてくれてホッとしたんだ。 いくつもの気遣いがどれだけありがたかったか…… でも、なんとなく声にならなくて黙ってしまった。 「今日は手にする?」 光牙がイタズラっぽく笑う。 差し出された大きい手に触れ、繋ぐ。ドキドキするけど、少しずつ緊張が解けてきた。 夜はキスしたりお互いに触ったり、指を入れられたりしてる。 まだ……最後まではしてない……

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