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ある晩、光牙が夜中に出て行ってしまった。一応、半獣人だけどウサギ。気配には敏感で目が覚めた。 なんとなく不安な気持ちになり窓から外を覗く。 光牙は外で誰かと話してる。パッと見、人だけど……多分獣人。纏うオーラが光牙に似てる。兄弟?従兄弟とか? ウサギの耳をピンと張る。 この距離なら耳を澄ませば…… 「こんな夜中にどこ行くんだよ。」 その人が話す。声も光牙に似てる…… 「□□□□に行ってくる。お前こそ、こんな夜中になんの用だ。」   □□□□…… 俺を買った店がある風俗街…… 「終電なくなったから泊めてもらおうと思って……久し振りに会いたかったし。 風俗街?ウサギ、買ったんじゃないの?」 「まだ発情期来てない子供で…… 痛がるし可哀想だから、まだヤッてない……」 「なんだよ。待ってあげてるの? へぇ……どんな子?」 「世間知らず。でも……健気で可愛い。」 「絆されちゃったんだ〜。 遊び人の光牙を待たせるなんて凄ぇな。」 「遊び人って昔の話だろ…… アイツ、未経験のくせに最近、やらしいんだよな……」 「徐々に開発中?男だから抜くだけじゃ我慢なんねーよな。無理矢理、犯すよりは風俗?優しい!」 二人は話しながら行ってしまった。 『風俗街に行く。』 『光牙を待たせてる。』 『抜くだけじゃ我慢ならない。』 さっきの人の言葉。 他の人とするって事……? 二人の会話に呆然としてしまう。 役目を果たせないから仕方ない。 仕方ないってなんだ…… 俺は何をガッカリしてる。 …………ラッキーだと思う。 狼の獣人だけど光牙は優しいし、美味しいもの、食べさせてくれるし、セックスもしなくていいし…… でも………… まただ…… 光牙は度々、夜中、ベッドを抜け出す事があった。 光牙はどんな顔して他の人を抱くんだろう…… 優しく?意地悪に? あんな熱っぽい目で見られたら、相手だって、きっと…… キスもするのかな…… するよね。 優しく抱きしめて…… 甘いキス…… …………なんだか、モヤモヤする。 待てよ。俺、子供を孕ませる為に買われたのに…… セックス出来ない。子供も産めない。 万が一、外で子供が出来たら? 俺はいらない……?追い出される……? 光牙の笑顔を思い出す。 どうしよう…… 捨てられたりしたら。 もう店には戻れない。  …………それに……他の人と出来る? 光牙にはようやく慣れてきたけど。 光牙以外の人に抱かれる。 …………考えるだけでゾッとした。

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