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なんだか目まぐるしい一日だった。
ずっと施設暮らしだった俺には不慣れできらびやか過ぎる家。部屋も広すぎて落ち着かない。
ドアを閉めて座ってみる。クローゼットの中はすごく良い匂い。柔軟剤かな……?
昨夜、あまり眠れなかったから眠い……
ハッ!目を覚ます。
真っ暗……
周りを見回すとセンサーライトが付いた。
クローゼットの中……
…………あれ?今、何時?俺、寝ちゃってた?
ガチャ。
クローゼットを開けられて更にビックリ!
…………あ……光牙……
光牙も口を開けて驚いてる。
「おい。ここ、クローゼットだよな……?なんで、こんな所にいるんだ!ビックリすんだろ!」
「こ、ここ……良い匂いがするから、落ち着いて。」
「あぁ……ウサギは不安になると巣に帰る習性があるんだっけ。慣れないマナー教室、頑張ってたって執事から聞いたよ。疲れた?」
本当は気疲れしたけど。
首を横に振る。
「ぶ……くくっ。だけど、クローゼットの中って!他にも場所はいっぱいあるだろ!」
手を差し伸べられて立ち上がる。
「ユイト。旦那様のお帰りだぞ。
さぁ、約束のものをやってみろ。」
旦那様……朝のくだり?
「な……何を……」
「分かってるくせに。」
光牙が意地悪そうに笑う。
覚悟を決めて顔を上げる。
「ご飯にする?お風呂にする……?」
「大事なやつが抜けてる。」
「…………ご飯にしよう?」
「可愛いけど駄目。リテイク。」
「ご飯にする?お風呂にする?
……ぉ……お……!俺……俺っ……!」
「あー。もどかしい。くくっ。オレオレ詐欺かよ。次は溜めなしで!
頑張れ。大丈夫。お前なら出来る。」
そんな事、キリッとした顔で言われても……
昨日、痛がったらやめてくれた光牙。
…………少しでも気持ちを返したい。
顔を上げて、光牙をじっと見つめる。
「……お……俺にする……?」
小さい声しか出なかった。
その瞬間。光牙が嬉しそうに笑った。
「ユイトにする。」
ヒョイ。
軽々と持ち上げられ、視線が高くなる。
え……
何、これ……お姫様抱っこ……!?
「お前、本当に可愛いなぁ……
俺の言う事、なんでもしちゃうの?」
「そ、それは……こっ!怖い!おち、落ちちゃう!」
慌ててしがみつく。
「くくっ。落とすかよ。」
「…………俺、重いよ。」
「軽すぎ。」
腕に抱かれると光牙の甘い匂いがする。
部屋のソファに下ろされると、光牙も隣に座ってきた。
「ここに乗って。」
膝を指さされる。
恐る恐る膝に乗るとガバッと足を開かされた。
「……っ!」
俺のと光牙のがぶつかってる。
昨日の色々を思い出してしまい、途端に頬が熱くなる。
「何、赤くなってんだよ。」
「その……」
「昨日の事、思い出した……?」
「…………ぅ。」
「やらしいな……
ホラ。口開けて。まずはお帰りのキス。」
お帰りにしては……やたら……
フラフラになる位、激しいキス。
スルリ……
下着に手が入ってくる。
やっぱり反応してしまい、上下に動かされ、あっという間に追い詰められる。
「……ん……アッ……はぁ……」
「可愛い声……気持ちいい?指も入れるよ。」
「……ァ、あぅ!!」
指が入ってきて身構える。
チュ……チュ……
頬に首に沢山キスされる。
口へのキスは蕩けるみたいに気持ち良くて……
「昨日より出し入れがスムーズになってきた。毎日、練習しような。」
そんな事言いながら、中をかき回さないで……
「や、んんっ……ァあぁアッ!!」
「俺、キス、好きなんだ。
ユイト。『キスして。』って言ってみて。」
自分から言うの恥ずかしい……
「照れてる顔ヤバイな。ねぇ。言って……?」
でも……
光牙が望むなら……
「……キス……して……」
唇が重なる。
俺を抱きしめてる手が背中を撫でた。
温かい……
甘いキスに身を委ねる。
段々、キスが深くなる……
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